敏腕Pの日々のつぶやき

テアトルシアター代表。担当舞台作品について他、演劇やスポーツ等々の雑感を気の向くままに。

召命

2007年09月27日 | 鑑賞
【文中敬称略】

 最近「劇団昴」との仕事が濃密な「劇団渡辺源四郎商店」店主・畑澤聖悟。この公演の後には来年2月に早くも『親の顔が見たい』(劇団昴ザ・サード・ステージ第28回公演/THEATER TOPS)が控えている・・・。

 とゆーわけで、昨日劇場に辿り着くところで終わってしまった『召命』(作/畑澤聖悟、演出/河田園子 9/22~30 蒲田演劇工場)の感想です。

 劇団昴ザ・サード・ステージLABO公演vol.1となってまして…、こないだ新生昴の第1回公演に続き「嗚呼、何から何まで一区切りで公演ナンバーは“1”からなのネ」と思ったら、冒頭紹介したザ・サード・ステージだけは公演数が継承されるらしい・・・
「へえ…」

 ま、そんなこたぁどーでもいいことだ。

 近未来。荒廃する教育現場では「校長」を教職員の互選で選ぶ制度を導入している…という大胆な設定の中、とある公立中学校では自殺した校長の後任を決めるべく、クジで選ばれちゃった8人が校長室に集まってくる・・・。

 そう、なんだかテーマは深刻ながら「選ばれちゃった」とクダけて書きたくなるよーな、おふざけ感も満載な世界でした。

 なんつっても「クジ」なので、学年主任・安宅忍(星野亘)や勤続25年のベテラン教師・草野ハナ(寺内よりえ)はありとして、その草野に毎日指導を受けている新任の諏訪春子(池谷香)もいれば、養護教諭・小峰尚子(市川奈央子)、技能主事・舘島流(舘田裕之)もいる。ちなみに技能主事は用務員さんのこと。
 で、さらには一般企業から無試験で“レンタル”されて来た、某一流企業で若くして営業部長になった正岡岳史(宮島岳史)なんてぇのもいる。まぁ一言でいえばバラエティ豊か過ぎる・・・8人は、当然「校長」の職を押しつけ合うのダ。
 設定は二重丸

 さて。政治評論家原作の、はたまた元プロ野球選手の、さらには現役教師の……つまりはその世界に精通した方が、原案だったり、原作だったり、シナリオだったりする作品が、なるほど内側からしかわからない深い作品の場合もあれば、むしろ逆の場合もある。
 『召命』の作者が現職の公立高校の先生ってことは周知のこと。
 で、残念ながら本作は逆の方、とゆーか、豪華スタメンを揃えて、色んなバリエーションで攻めるんだけど、ゴール前で空振ったり、思いっきりふかしてポストの遥か高く蹴り上げたり・・・おい、またサッカーに例えるンすか?
                   以下、ネタばれあります

 いや、でも本当に、あとは決定打さえ・・・って舞台でした。

 諏訪が授業で取り上げた地味な小説の作者が、実は同じくクジで選ばれた社会教諭・長崎誠(平本未來)で、そのペンネームがアナグラムで作られている、とか、駄洒落ばかり言っている教頭・藤沢豊(やなせさとる)と、未だ独身の草野の過去に何かあったらしい…とか、興味をそそるくすぐりもいっぱいあったのだが、「ええ、そこでパス出さないのぉ!」「うわ、右サイドがら空きじゃん! そこはサイドチェンジでしょ」と、その先の展開がないので欲求不満が募りながら時計は刻一刻とタイムアップへ・・・。

 弊団『温室の庭』の美術を務めた長田佳代子の舞台美術が、師匠の島次郎を思わせるタッチではあったが、なかなか良かった
 無機質で堂々巡りの芝居をうまく表現していたと思う。

 なんか、この感想も隔靴掻痒ぎみだが、いよいよ公演は日曜まで。
 ある意味驚愕の(?)“ラストシーン”を、あなたは目にしますか?
 京急「梅屋敷」が最寄り駅。蒲田からは少々距離があります。
 駅から劇場まで約2㎞?
 ・・・畑澤作品には名作の誉れ高い『背中から四十分』ってのがあったな。


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