Songs from the Big Chair [UK Bonus Tracks] Tears For Fears Polygram International 2001-03-13 売り上げランキング : 8,505 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
僕の音楽的ルーツを振り返る企画第20回。今回はティアーズ・フォー・フィアーズ。80年代にみーんな聴いてたブリティッシュポップ/ロックのヒット曲の中でも、異彩を放っていたTFF。シンセ音の洪水のような音楽シーンの中で、彼らの音楽は全く違った。
Shoutを初めて聴いたときの衝撃は今でも覚えている。派手なイントロなど存在しない。4小節のリズム音だけ。そしてそこからは、地面を少しずつ揺らし始めるリズム、魂からわき上がるようなヴォーカル。わずかなメロディーが、次第に大きくなりバックの声や演奏と絡み合い、力強いドラムと哀愁を帯びたギターの音色がクライマックスを演出する・・・。ポップミュージックなんだけど、ゴスペルの荘厳さとプログレの仰々しさを併せ持つような・・・もうそれを言葉に表せなかった。一転して明るい印象のEverybody Wants To Rule The Worldも好きだった。
彼らのグル-プ名がなーんか難しい本から由来するところも、ようわからんかったけど”ちょっと知的なもの”を好んでいた当時の僕にはやたらとかっこよく映ったものだ。「バーバレラ」のマッドサイエンティストの名前をバンド名にするルックスばかりのバンドとは違うゼ(わかりますね)、と心底思っていた。
確かにTFFも最初のアルバムはシンセ音ばかりだった。でも”痛み”と題されたアルバムは脱皮への第1歩だったのだ。2ndの Songs From The Big Chair は本当に傑作。随所にアーティストとしての二人のこだわりが見えてくる。Head Over Heels や I Believe も美しいし、何よりも音にスキがないし、無駄もない。80年代最後の、そして二人のコンビとしての最後となる3rd The Seeds Of Love を初めて聴いたのは、社会人になった最初の年。忙しさとつきあいのカラオケネタの為に、洋楽を聴くことを忘れがちになっていた僕をくい止めた傑作だった。ローランドとカート二人のコンビは残念ながらここで解消してしまう。最近復活作を発表したTFF。これを書いている時点でまだ聴いていないけれど、近い内に必ず入手するゾ。