忘却への扉

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じょうまえを

2006-05-24 | 追憶
 テレビ・ドラマなどは見なくなった。本やマンガのほうがましと思ったりもする。時代劇が好きと云う訳ではないが、他の代わりに見ることがある。時代劇の小道具の中に祖父母たちと共に暮した、日々の暮らしと重なる品を見付けられるからかもしれない。
 たとえば盗賊が押し入る土蔵の扉にある錠前。あれほど大きくも立派でもないが、同じ形の錠前を使用していた。
 実際に家を留守にする時に錠前を閉めていたのは、家族の住居だった母屋と蚕室だけ。下納屋などの錠前はぶら下げてはあったがいつも閉めた訳でもなかった。
 子供の頃はあの古い錠前で戸締まりをしていたが、新しく建て替える以前には、もう錠前を使わなくなっていた。鍵を閉めることを止めたのだ。
 敗戦から時が経ち、世の中が落ち着きもしたのだろう。安心できる村になったのだ。貧乏仲間の我が家にさえ、ドロボウが入る時代だから錠前が必要だったのだ。
 それから家に鍵をかけない年月が長く続いたが、現在はまた安心が減り始めて出かける時は、戸締まりを確認し鍵をかけることを忘れない。庶民にとって錠前も暮らしの平和と関わる品だ。戦争にも永遠の鍵をかけたい。