羽を休める鳥のように

きっとまた訪れる薄紫の夕暮れを待ちながら

きみの歩き方が好きだ

2012年01月26日 | Weblog
先日岩波ホールで期待して観た映画「風にそよぐ草」が、
ちょっと期待はずれだった。
だから、という気持ちも多少あり最近またレンタル映画で
「ひとり映画鑑賞会」をしている。
一枚39円で借りて宅配され返却封筒も切手もセットされていて
観終わったらポストに投函するだけ、というのは便利でうれしい。

昔の名作、すこし前の気になっていた作品、映画好きの知人や息子からの
情報など、「見逃したこと」はこうして今取り戻す。

「やわらかい手」に登場するのはふっくらとした中年の主婦。
彼女がぺったんこのブーツにエンジ色のフードつき半コートを
いつも変わらずに身につけていることに親近感を覚える。
難病の孫の治療費を工面するために彼女がたどり着いたのは性風俗の店だった。
「接客業って何をするのかわかってるのか?」と店主に聞かれる。
「お客さんにお茶をだしたり、部屋を片付けたり、、」

夫と死別して狭い村で単調に世間知らずに過ごしてきた彼女が
こうして変わり始める。
友だちに見つからないようにこそこそし息子や嫁にばれないように
一生懸命隠しながらだんだん仕事に慣れ人気も獲得していく。
予想していたとおりやがて店主と彼女は互いに惹かれあうことになる。
仕事の相談をしたあと別れ際にふと見つめあう二人。
プライベートな会話をほとんどしなかった二人だがふと相手の存在の
大きさに気がつく場面。
「あなたの笑顔が好きよ」・・・・「きみの、、歩き方が好きだ」

歩き方!そういえばふっくらと豊かな彼女はとてもチャーミングで
いつもとんとんと前向きに歩いて行く。

女性が自立していく映画に思えたのでこの台詞は象徴的だった。
彼はそういう彼女を理解して応援するよ、という意味を込めたのだと思う。
性格や表情など細部ではなく彼女全部、まるごと好きだよ、という意味に
聞こえた。

いずれはわかることで、「不健全な・・!」と眉をひそめる友だちとは
さっぱりと離れていく。
孫も治療を受けられるようになった。

最後近く、村のいつも寄る小さな雑貨屋で彼女が
「あ、今日はナッツとフルーツのバーもいただくわ。いつも我慢してたの。」
と微笑む場面は素敵だ。

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