何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

あなたが創る顧客満足

2007-08-25 12:31:11 | 心に残ること
『基本のキホン あなたが創る顧客満足  佐藤知恭・著、日経ビジネス人文庫、2000年11月。

 高知市の土佐料理店「司」に、福島県会津若松市の消印の手紙が舞い込みました。会津若松の元高校校長、坂田哲三先生からの手紙でした。先生は定年退職後、これまで苦楽をともにした妻の凱子さんと旅をすることを楽しみにしていました。ところが1997年12月、奥さんがガンで亡くなってしまいました。悲しみから立ち直った坂田先生が、妻の冥福を祈るために四国八十八ヵ所の札所巡りを思い立ったのが99年。そして2000年も讃岐から土佐を回りました。

 その帰途、飛行機の時間を待つ間、土佐料理「司」の高知空港店に入りました。ビールを一本、それに土佐名物のかますの姿ずしを注文しました。そして、「あ、グラスを二つ」と付け加えました。注文を受けたウエイトレスの近藤ミカさん。入社二年目の若い女の子です。お客が一人なのにグラス二つとは、と不思議に思いながらも、ビール一本とグラス二つを運んだのです。

 二つのグラスが気になったミカさん。お客さんの方をチラッと見ると、そのお客さんは女の人の写真をテーブルに置いてその前にグラス。そしてそこにビールを注いで乾杯しているではありませんか。きっと亡くなった奥さんの写真を持って札所巡りをしてきたのだと思いました。そこで、お箸と箸置きを二組、小皿を二枚、持っていったのでした。坂田さんの手紙は続きます。

 「こうした旅には必ず家内の写真を持って行っては一緒にビールを飲むのです。しかし、お箸と小皿を出してくれたお店はおたくが初めてです。驚きました。感動で体が震えました。本当に感激し帰りの飛行機の中でも涙が止まりませんでした」 (p.175-177)

 正直、この部分は読んで泣けた  これからというときに奥さんを亡くされ、供養の意も込めての旅だったであろうこと、若い店員にもかかわらず気転の効いた対応ができたこと。

 こういうことはおそらくマニュアルじゃできないだろう。いくら四国はお遍路さんが珍しくないとはいえ、想定された行動ではないと思う。相手の気持ちを汲んで即座の行動がとれるのは、訓練によって身につくというよりも、物やお金よりも気持ちを大切にする心や、相手の笑顔が見れて自分もうれしいという気持ちがそうさせるのではないかと思う。

 子供の命日に老夫婦がディズニーランドに行き、レストランでお子様ランチをとってささやかにお祝いをする際の店員の心遣いの話もこれと似ているが、そういった場面を演出できることは最高に幸せである。

 これに匹敵する、あるいはこれの延長に当たることを、小さなことでいいから日々の中に作っていくことを当面のテーマにしたいと思う 
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