何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

「白い恋人」の復活はあるか?

2007-08-16 14:47:57 | よくわからないこと
<石屋製菓>大きく傷ついたブランド 不祥事は幹部が主導 毎日新聞 2007.8.15 より

 「白い恋人」のブランドが大きく傷ついた――。14日明らかになった石屋製菓(札幌市西区)の賞味期限改ざんなどの不祥事は同社幹部が主導していた。石水勲社長は「改ざんなど一番嫌いなこと。規範意識が欠如していた」と語気を強めたが、失われた信頼回復の道は遠い。

 改ざんなどを主導したのは取締役の伊藤道行統括部長。同夜の会見で伊藤統括部長は「申し訳ないとしかいえない。(当時の記憶は)薄れている」と言葉少な。バウムクーヘンから黄色ブドウ球菌が検出されたのに出荷したことや、アイスクリーム商品「ミルキーロッキー」から自主検査の時点で大腸菌群が見つかったのにもかかわらず出荷を止めなかった理由について具体的な言及はなかった。

 「白い恋人」の賞味期限は4カ月だが、石水社長は「包装技術の進歩で約半年は味も変わらない」と説明。安全面も問題がなく、このことは社内で常識になっていたといい、返品商品の賞味期限改ざん・再出荷の遠因になったとしている。


「石屋製菓」返品処理で期限改ざん…課長提案、部長が容認 読売新聞 2007.8.16 より

 チョコレート菓子「白い恋人」の賞味期限偽装などが発覚した北海道の大手菓子メーカー「石屋製菓」(本社・札幌市)の石水勲社長(63)は15日、札幌市内で記者会見し、偽装の詳しい経緯を明らかにした。

 それによると、偽装が話し合われたのは4月24日。担当課長から、伊藤道行・取締役統括部長(57)に「30周年記念の『白い恋人』に予想以上の返品が出そうだ」と報告があり、「賞味期限をずらしましょうか」と提案されたという。

 伊藤部長は「日付を替えるのは良くない。工場併設のテーマパークの入館者に配ったり、3個詰めの小売りにしたりするなど、ほかの手法はないのか」と難色を示したが、返品数が多く、結局、偽装を認めた。


期限改ざん常態化 社長も事実把握 「白い恋人」96年から 石屋製菓 北海道新聞 2007.8.16 より

 石屋製菓(札幌市西区宮の沢)の石水勲社長は十六日、札幌市内で記者会見し、「白い恋人」の賞味期限を一-二カ月延ばす改ざん行為を一九九六年から十年以上、行っていたことを明らかにした。石水社長自身もこの改ざん事実を知っていた。「白い恋人」の賞味期限改ざんが会社ぐるみで、常態化していたことが分かった。

 札幌市保健所はこうした行為について、十五日の立ち入り検査で「不適切だ」と指導した。十四日に三十周年記念商品の一部で改ざんが発覚した際に、石水社長は「改ざんは三十周年限定商品の四千三百二十八箱だけ。ほかの白い恋人には存在しない」と断言。虚偽の説明をしていたことになり、経営責任が問われることは必至だ。

 北海道を代表する菓子メーカーの不祥事は「事実隠匿」から「虚偽説明」、「改ざん常態化」と一気に拡大した。

 石水社長は「私も(延長していたことを)知っていた。大変申し訳ない。創業の精神に立ち返りたい」と、あらためて陳謝した。
 

 食品業界の不祥事について、不二家やミートホープ、ニチレイ、雪印等の悪しき前例を知らなかったはずはない。多くの会社はそれを見て自社の再点検をしたであろうに。
 「魔がさした」のはなぜだろう。しかもこのような期に。雪も融け、これから北海道にとって最良のシーズンを迎えるという時期において。

 自主的とはいえ、「4日間の業務停止」というのはいただけない。反省と安全確認を行って業務再開をするまでに「4日間」というのは、あまりにも短すぎる。甘さの一端が残っていることを窺わせた。

 土産物屋も混乱しているというが、今がチャンスと思わないライバル会社はいないだろう。新製品も次々と出ている。

 TVでは内部告発があったというが、その勇気には一縷の望みを期待したい。今後も続いて欲しいのは「白い恋人」ではなく、そういった真っ当な倫理観が生きる社会だ。


Comments (2)
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よくわかるCSのすすめ方

2007-08-16 08:15:13 | Book Reviews
『改訂版 よくわかるCSのすすめ方』 武田哲男・著、日本能率協会マネジメントセンター・発行、2005年9月。

 トップが熱心でないと成功しない

 CSは企業の中核に位置する経営理念であり、戦略であり、手法である。
 したがって、トップならびにトップ層が一番の理解者であり、何よりも熱心に推進する牽引者の役割を担っていることが当然の姿なのである。
 とはいいながら実態は必ずしもそのようになっているとは思えない。
 経済の低迷期ほど実は顧客に支持されなければならないのに、目先のノルマに追われ、セルイン(押し込み販売)タイプの精神論による強引な売り込みに終始し、それが顧客の反発を買い、顧客の離脱化を招くといった悪循環により業績を落とし続けている企業が目立つのである。
 顧客をないがしろにした結果としてのツケが回ってくる悪循環の悪魔のサイクルに落ち込んだ姿である。
 だから、売り上げ中心、ノルマ優先、押し込み販売が優先し、大切な顧客に支持される重点的な要素であるサービス分野の諸経費まで、コストダウンの命題のもとに削減していって、サービスの質を落としてしまう。いずれもトップの気持ちの結果としての現れと言えよう。 (p.40)

 これ以上、言う必要もないくらい、経営不振・不調のサービス業の実態、最大の原因を指摘しているのではないか。
 
 「まずは経営が安定しなきゃいけない」などと言う経営者を見ると、大丈夫かと思ってしまう。経営状態がどうでもいいなんて思っている者などいない。顧客の支持なくして、どうやって経営が安定するというのか。

 にもかかわらず「経営」安定などという言葉で、売上げや利益拡大を最優先に掲げ、一方でさも“お金ばかりじゃない”という言い訳か本音のカモフラージュのように他の方針を脇に添える。実は数字しか興味がないクセに、すべては数字のためにあると言わんばかりの活動しかしていないのに・・・。案の定たいした結果は得られていない。この間に、体制がますます疲弊していくのを見るのはつらい。

 こういった経営状態を逆転させるにはどうしたらよいのだろうか。退陣という方法と軌道修正という方法があるが、前者がよいという意見もある。
 石屋製菓だって、「白い恋人」というドル箱商品を抱え、さして経営不振ではないだろうに(実態はわからないけど)、改ざん・隠蔽という手法を使って強引な販売に走ってしまった。まさに「会社は頭から腐る」ようだ。
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