何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

もう少しマシな人かと思ったが

2009-09-25 22:11:05 | JR西に学べ
尼崎脱線事故調委員が情報漏えい JR西寄りに修正図る 神戸新聞 2009年9月25日(金)16:26

 尼崎JR脱線事故で、原因究明に当たった国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)の委員が、2007年6月の事故調査報告書の公表前にJR西日本の山崎正夫社長(当時)に報告書案を渡し、その内容がJR西の意向に沿ったものになるよう委員会で修正を求めていたことが25日、分かった。前原誠司国交相は同日の会見で「れっきとした法律違反で、あってはならず言語道断」とし「亡くなられた方々、ご遺族、けがをされた方々に心からおわびを申し上げたい」と謝罪した。山崎前社長も「軽率で不適切な行為だった」とのコメントを出し、同日午後にJR西日本本社で会見した。

 運輸安全委によると、情報を漏らしたのは、国鉄OBで元日本鉄道運転協会専務理事の山口浩一元委員(71)。01年10月~07年9月に事故調委の委員を務めた。

 山口元委員は、06年5月に山崎前社長から連絡を受け、報告書を公表する07年6月までに東京都内のホテルで4回ほど面会。調査状況を話し、報告書案も渡した。さらに山崎前社長から、報告書案にあった「事故現場のカーブに新型自動列車停止装置(ATS-P)があれば事故は防げた」との内容の削除を求められ、調査委で報告書案の修正を求めたという。

 山口元委員は山崎前社長から、菓子の手みやげや、新幹線の模型、おもちゃなどの提供を受けたという。また、報告書の公表後、山崎前社長の支払いで夕食を一度、ともにした。山口元委員は「JR西社長として安全対策を積極的に推進する姿を見て助けたかった」と説明しているという。

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 先の会見で、自身としては無念で、不本意ながらも処分を受け入れるような“善人さ”を持った人物のような報道をされていた山崎社長が、裏でこのようなことに手を染めていたとは驚きだ。

 手土産等の供与もあったのだ。「軽率」という類のものではなかろう。被害者への背信行為であるとともに、不誠実、悪質な行動だ。
 いったい、事故調査は誰のためにあるのか。誰のために鉄道事業をやっているのか。原点なんぞ、すっかり見失っているとしかいいようがない。

 それなりの権限を持った要職にある者の行動であり、個人としての資質もさることながら、組織ぐるみでの行動ともいえる。事故を真摯に受け止めず、反省も不十分な態度であることは疑いようもない

 またもやJR西日本に裏切られたような、やりきれなさを感じずにはいられない。
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ルポ医療事故

2009-09-25 21:32:46 | Book Reviews
「ルポ医療事故」 出河雅彦・著、朝日新書、2009年3月30日

p.45 「危険を内在しているシステムは、その危険が直ちに事故に結びつかないように多重の防護壁を備えているのが普通です。しかし、本事故を見ると、どこにもそれが見えません。唯一の防護壁は、『看護師による薬剤投与における①準備時、②実施時、③終了後の3段階において間違いなく薬剤を投与しているかを確認する』というものです。すべてがこの『確認』するという唯一の行為に依存しています。これは驚き以外のなにものでもありません。このような脆弱なシステムの存在が許されるのでしょうか。
 本来ならば医療システムのような、患者の命に直結しているために高い安全性を確保しなければならないシステムでは、ヒューマンエラーの発生防止とヒューマンエラーによる影響の拡大防止の対策をシステムとして考え、組み込んでおかなければなりません。

p.53 しかし、自分たちの組織を守るためなら、嘘を言い、患者家族の人権を傷つけても平気でいられる。こんなことができるのは、『先端医療で長く生きられたのは幸運なのだから事故で死んでも仕方ない。医療の進歩のための犠牲だ』という、患者への差別意識が医療者側にあるからとしか思えない。

p.53 非を認め、誠心誠意謝罪してくれた人が1人もいない。医療者は『事故の再発防止システムの重要性』を口にするが、誤りは認めようとしない。だから、自分たちを守りたくて言っているように聞こえてしまう。

p.189 公表する以上、他施設の医療安全の役に立たなければ意味がありません。

p.315-6 事故調査は、透明性、客観性が担保され、公正に行われる必要がある。これは医療紛争を回避するための必要条件である。さらに、診療行為が現在の医療水準に照らして妥当であったか否か、事故を回避することはできなかったかどうかを医学的、客観的に評価することが重要である。こちらは同種事故の再発防止策を検討するためのポイントである。

 事故が判明したら、隠さないこと。明るみに出して詳細に分析、検討し、改善につなげることが死に報いることだ。内密に済ませようとするのは、自己保身にほかならないし、死を無駄にすることでもある。当人はもとより、遺族に対してもこれ以上ない失礼な態度だ。そういう判断はけっしてあってはならない。
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