何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

非効率主義宣言

2009-09-12 15:22:39 | Book Reviews
効率主義宣言 暴走する効率主義への警告 中沢正夫・木村晋介・丸山重威・編著、萌文社、2002年5月28日

p.14 生産現場で追求された効率主義は、すぐにOA機器の発達により、事務系部門におそいかかり、本来非効率でこそ真価を発揮できる部門(子育て、教育、医療、福祉)まで、席捲しようとしている。生産現場の労働者が能率教に改宗したごとく国民全体が効率教徒化しているといってよい。

p.17 子育て、教育、医療、福祉などは元来非効率的であってこそ力となる。手づくり、試行錯誤のくりかえし、それを「待てる」ゆとりが何よりも大切である。いずれも当面の数値目標をあげるよりも個々のプロセスに意味があり、過度の効率化を求めることは、これらの分野では自殺行為に等しい。

p.27 ヒト化がおくれているばかりか、退化のきざしがあるのである。

 IT化全盛の時代であるが、ヒトでなくてはできないものがあり、すべきものがある。効率化の意識が、ヒトを削減し、機械で代用しようとする。そこに落とし穴があり、誤った選択があることに気づいていない、もしくは気づこうとしない。IT化が目的になって、何をどのようにすることが、目的や役割が忘れ去られているのかもしれない。IT化の見栄えの良さに見えなくなってしまったのかもしれない。

p.41 今、子ども達に一番必要な能力は何かという問題ですが、それは、途中を省略しても何でもいいから早く結論、結果を出すということではないのです。こうした能率主義、効率主義は、本当は実に非効率なわけです。
 使い捨てにされないで、前向きに生きていくために何が必要なのかを考えた時、どんな状況になっても自分の頭で考え一人で対応できる能力を持つしかないと思うんです。基本は一人だけれども、いざとなったら仲間と手をつなぐ・・・・・。

p.41 回り道をして無駄をして、試行錯誤して、失敗してもいいのです。ただし大きな失敗をしないように大人がちゃんと注意深く見守ることですが・・・・・。非効率に見えるけれども、最終的には子ども達にとっても社会にとっても本当の意味では効率がいいのではないかと思います。

p.102-3 だから価値判断というのがあるんだと思うんですよ。「あなたがたは知らないかもしれないけれど、あれは他にはかけがえのない世界一のオーケストラでベルリンにはベルリンフィルがなければいけない」というんです。「そのために、外国から人が来る、ホテルに泊まり、食事をし、お金を落とす。それ以上に陸の孤島のベルリンが安全なのは、そこに優れた文化があるからで、ベルリンフィルは、そこに大きな役割を果しているんです」と言っているのではないかと思う。

p.156 そもそも効率主義をこのまま進めていくと、完全に破綻するわけです。生産現場からはじまった効率主義は実はものすごい非効率であったと思うのです。
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