処分する本を階段に積み上げていて、おやっ!っと思った本があった。映画になって話題になった「バトルロワイアル」だった。誰が買ったのか。娘たちだろうか?しかし、この中学生の殺し合いの本を買うとは思えない。そう思いつつ手に取って読み始めてしまった。読ませるのである。止まらない。どうなるのだろう。
美容院へ持って行き、読んでいると「分厚い本ですね。何を読んでいるんですか?」と、問われて自分の趣味ではないので恥ずかしいような気がして、「まあ、そうです。」と、返事したくなった。桂枝雀の落語に出てくるとぼけたおやじの返事である。
確かに分厚いのだが、一挙に読める。途中で止めたら怖いからだ。
さて、娘に聞いたら案の定「買わんよ・・お父さんじゃないんか?北野たけしの本買っとったし。」
北野たけしの本は何冊か買っていた。しかし、これは、北野たけしが書いたのではない。映画に出ていたのである。長嶋茂雄、高倉健、北野たけしファンではあった。アウトレイジも観た。「菊次郎の夏」などは、昭和の子供たちであったわたし達は共感するのである。
しかし、バトルロワイアルを持っているのは知らなかった。「夫婦でも、知っているようで知らないことあるね。」と、言うと、もう一人の娘は、「おかあさんじゃないん?ミーハーやし、読もうと思って買って忘れとるとか。」
自信がない。今では確かめようがない。夫の知らない部分を見つけたと思ったが、自分の忘却ぶりを証明したかもしれない。恐ろしい。認知症の始まりでは。いや、いや、違う。
と、いいつつ読み終えて、毎日の新聞の戦争記事や、憲法九条についての記事にダブってきた。人は、自分を守るため、あるいは恐怖の為に他人を殺す心境を描写していることが怖かった。