(前回からの続き)
前回、今年の日本人のノーベル賞ダブル受賞(医学・生理学賞と物理学賞)に関連し、わが国の学究水準と業績はほとんどすべてのジャンルにおいて世界最高峰に達しているなかで唯一、「経済学」だけが大きく劣っている、という個人的な印象を綴りました。
このようすを「日本」をひとつの大学になぞらえてみたとき、文学部、理学部、工学部、農学部、医学部、芸術学部などはどこも一流なのに、経済学部だけが「お荷物」になっている・・・どころか他の学部が成し遂げた輝かしい成果を無にしかねないほどの害毒を発している、といった感じ・・・。まあ「天は二物を与えず」というように神さまは、「自然科学」などをまとめてプラスにするかわりに「経済学」だけを超マイナスにすることで日本国の学問レベル全体を他国と比較して突出し過ぎないように、と配慮して下さっているに違いない!・・・なんて半ば本気でそう思っています。
以前もこちらの記事に書きましたが、同じ人文科学でも法学とか会計学などと違って経済学は実学ではなく理論を考察するもの。ということでその理論が大切になりますが、内容がどんなものであっても根底には、すべてのノーベル賞日本人受賞者の胸の内と同じく、「世のため人のため」という崇高な理念があってしかるべき。というのも経済学とは、もともと「経世済民」(世を経(おさ)め民を済(すく)う)ための学問だった(過去形)からです。
ではこの経世済民≒「世のため人のため」に照らしていまの日本の主流派経済理論・・・を体現した「アベノミクス」はどうかといえば・・・まったく逆としかいいようがないでしょう。本ブログでさんざん書いているところですが、「100%正しい」などと経済学会がこぞって絶賛するアベノミクスのやったことは、マイナス金利&円安誘導、輸入必需品(エネルギー費&食費)の意図的な値上げ、そんななかでの消費税率引き上げ敢行など。これによってもたらされたのは・・・マクロ経済的には経常収支の悪化、世界史的な超マイナス成長、国富の著しい喪失などであり、ミクロ面では実質賃金の低下、エンゲル係数の上昇、これらを通じた貧富差の拡大や子どもの貧困状態の悪化、などなどの「世のため人のため」とは真逆の悲惨なありさま・・・
いや、プラスになり得る要素がひとつだけ(?)あった、「カブノミクス」が―――ということでアベノミクスは、インフレで円の現金・預貯金が時間とともにどんどん目減りしちゃうよ~と、一握りのお金持ちを株に代表されるリスク資産投資に駆り立てます。で、なかにはそれなりに潤う人も出てくるわけで(もちろん理屈上、少なくとも半数?は逆に損をしてしまうが)・・・。
で、この意味することは・・・アベノミクスに託す(?)日本経済学の理念とは・・・「カネのため自分のため」・・・