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【「既存」「都市」と「民間主導」】選択と集中が求められる公共事業⑤

2013-09-13 00:02:04 | 日本

(前回からの続き)

 現在のわが国の公共投資でもっとも力を入れなければならないのは東日本大震災の復興事業であるのはいうまでもないところ。南海トラフを震源とする巨大地震の発生が近々想定されるなか、安全確保の観点から緊急性がとくに高いと判断される耐震工事等もできるだけ早期に実施されるべきでしょう。

 それらトッププライオリティー以外の公共事業としては、上述した理由から、今後はいっそう「都市」の案件を増やしていくことが必要だと考えています。この場合、結果的に都市インフラの整備に自然と力点が移るように、より多くの市民が都市部のインフラの改善や「納税者一人あたりの公共事業費の均平化」に関心を持つようになればよいと思っています。

 繰り返しになりますが、そんな意味でも2020年のオリンピック・パラリンピック東京開催決定は喜ばしいことだと感じています。これを機に、多くの国民が「東京をもっと良い街に!」と意識するようになって、投資効率の高い都市インフラの整備がいっそう進むものと予想されるからです。とくに「パラリンピック」の開催準備に向けて、あらゆる局面で障がい者や高齢者にやさしい街づくりが加速しそうだという期待も高まります。その一方、採算度外視の地方の大型プロジェクトは公共投資の対象から排除されるでしょう。それによって自治体によっては費用負担(コスト回収や赤字補填など)が軽減され、財政収支が好転するところも出てくるかもしれません(これは少し甘い見通しかな)。

 東京五輪に関してもうひとつ付け加えると、五輪開催が7年後というタイミングも絶妙と思います。本ブログで何度か書いているように、近いうち、遅くとも2020年までのどこかで、世界は借金バブル崩壊にともなう金融恐慌に突入することは避け難いとみています。そこで生き残るのは一足お先にバブルの後始末を終えた日本くらい。世界経済が総崩れになるなか(つまり外需が落ち込むなか)、健全な経済を持つわたしたちは自らの力で、つまり内需振興で、着実に前に進むことができると思っています。そのとき国民に希望と活力を与えてくれる象徴が「東京五輪」ということになりそうだ―――などと想像しています。

 ということで、少子高齢化でますます「選択と集中」が求められるこれからの公共事業は、主要「既存」インフラの更新と、投資効率の大きな「都市」のインフラ整備をおもなターゲットにする―――ただしこれらは、極力、(PFIとか)民間の創意工夫を導入して行い、政府・自治体はそれを財政面でバックアップする体制にする、といったあたりが望ましいのでしょうね。洋の東西を問わず、「政」とか「官」があまりに前面に出たプロジェクトは「?」なものが少なくないですから・・・。

(「選択と集中が求められる公共事業」おわり)


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