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【インフレ礼賛下で疲弊する実体経済】高騰石油代が揺るがす円安誘導の妥当性③

2014-06-27 01:00:00 | 日本

(前回からの続き)

 前回、インフレ礼賛のアベノミクス推進者と支持者の皆さん―――安倍政権・黒田日銀、経済学会、そして主要メディアにとって、足元の原油価格の高騰は歓迎すべき状況といえる、と書きました。これがガソリン代をはじめ、電気・ガス料金、その他原材料価格のいっそうの値上がりを通じてあらゆるモノやサービスのコストアップを促し、さらにインフレを煽るからです。

 しかし・・・これが国民の生活にマイナスの打撃を与えることは必至です。わたしたちの実質所得がますます低下する可能性が高いからです。

 こちらの記事等でいろいろ記したとおり、2012年11月のアベノミクスの実質的なスタートから現在までの勤労者や年金受給者の経済環境はむしろ厳しさを増しているところです。昨年はアベノミクス効果(?)で株価が上昇し、政府・日銀・マスコミがこぞって「アベノミクスで景気が良くなった!」と大合唱したにもかかわらず・・・。その大きな理由は日銀の異次元緩和に起因する輸入インフレによる生活費の上昇に収入(給与とか年金)が追い付いていないため

 そんななかで4月からは当初の予定のとおり消費税率が8%に引き上げられました。そして上述の「ガソリン1リッター170円」に象徴される石油の値段が急騰中・・・。であれば当然、生活コストはさらに上がり、わたしたちの日々のやり繰りは今年、厳しかった昨年よりももっと悪化しそうな気配が漂っています。そして来年、消費税率は10%へ・・・って、こんな状態で本当にそうするの?

 産業界にとっても痛いところでしょう。当たり前ですが、石油を含めたエネルギー価格の上昇は製造コストや流通コストを押し上げて企業の利益を目減りさせます。コスト増分を商品・製品価格に転嫁したところで、上記のインフレや消費増税によって頼みの個人消費が政策的に抑圧されているため、売上額が伸び悩むどころか落ち込むところも少なくないのではないでしょうか。

 となると、じゃあ輸出だ!ということになるのでしょうが、こちらに綴ったように、その目論見はすでに崩れています。輸出振興を図るために円安にしたら逆に意図せざる(?)輸入振興となってしまったのでした・・・。

 2011年の東日本大震災にともなう原発の停止以降、とりわけアベノミクス開始後のわが国の貿易収支は赤字傾向がすっかり定着しています。その最大の原因は円安誘導がもたらしたエネルギーの円建て輸入額の増加です。そこへこのたびのドル建て原油価格の上昇分が加われば同輸入額はいっそう膨らみ、貿易赤字を拡大させるでしょう。それはやがて所得収支の黒字でも埋め切れない規模になり、わが国を経常赤字国へと転落させることに・・・。

(続く)


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