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「黒田日銀」にも求められる貧困軽減の理念⑤

2013-03-21 00:04:50 | 日本

(前回からの続き)

 先日の記事「円安インフレ懸念で国民が気づく円高のありがたさ」で書いたように、わたしたちの足元では「アベノミクス」の目論見どおりの円安ドル高が進み、輸入インフレが誰の目にも明らかになってきつつあります。今後、電気・ガス料金、ガソリン、灯油、小麦などの公共料金や生活必需品の価格がますます上昇し、ほぼ100%の国民がその不利益を被っていることを実感するようになるでしょう。

 さらに、上記の黒田日銀の「インフレターゲット政策」によって、「持てる者と持たざる者」の差が広がり、一部の資産家がますます豊かになる一方、金融資産ゼロ世帯や生活保護の受給世帯の増加に象徴されるように、庶民の多くがまずます貧しくなっていくおそれが高まります。その結果、本来わが国では考えられなかったはずの「貧困」がじわじわと市民社会を蝕んでいくのではないか・・・。1月に「さとり(差取り)」と題してわが国の格差の小さな社会構造が日本経済の強さの源泉といった趣旨の記事を書きましたが、「アベノミクス」や「インフレ2%」にはそんなわが国の強みを失わせるリスクがあるように感じられるのです。

 日銀のトップに就任するにあたり、どうか黒田新総裁には、いまいちどADBの理念「貧困の軽減」に立ち返っていただきたいと思っています。

 「貧困」は何もアジアの途上国だけの課題ではありません。グローバリズムの広がりや新自由主義的な政策等により、一見それとは無縁のように思えるわが国でも、上記のように貧困が広がりつつある気配がすでに感じられます。ここで各種の政策を誤ればわが国は短期間のうちにアメリカや中国のような貧富の差の大きな国に変容してしまうかもしれません(それこそが「アベノミクス」のねらいなのかもしれませんが・・・)。

 そうしないためには、やはり日銀は中銀本来の目的である「物価の安定」と「金融システムの安定」を愚直に守ることが大切でしょう。

 このあたり、上述のように、「アベノミクス」のもとでの金融政策はこれらを意図的に軽視(?)する方向性が打ち出されるおそれが高いわけですが、黒田氏にはぜひともバランス感覚を発揮いただき、リフレ派だらけの周囲の意向に配慮しつつも、物価動向等に細心の注意を向けた舵取りをお願いしたいと思っています。そうすることが結果として給与や賃金の増加をともなう無理のないインフレと経済成長、そして何よりも格差拡大の抑制につながると考えているからです(このあたり、「円高は国益である」という考え方をお持ちの財務官の先輩「ミスター円」[私のイチオシの日銀総裁候補でした]の意見に耳を傾けるのもよろしいかと思います)。

 いまから5年後、「この5年間、日本経済ではプラス成長(と緩やかな給与所得の上昇)が達成されたが、貧困層が増加することも貧富の差が開くこともなかった。これもADBでアジアの貧困軽減に取り組んだ経験を生かした日銀総裁の絶妙な手綱さばきのおかげである」といった評価が黒田氏に与えられることを願っています。それはつまり同じ期間のわが国の国民経済が健全さを保つことを意味するわけですが・・・。

(「『黒田日銀』にも求められる貧困軽減の理念」おわり)


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