600円!?高すぎでしょ、いくらなんでも・・・
経済学には、各国の経済や通貨の力量を比較するための指標として購買力平価(一定の財やサービスを購入できる金額を異なる通貨間でそれぞれ等しい価値を持つとみなして決定される交換率)の考え方があります。その一種で、マクドナルドで売られている「ビッグマック」の価格を比較することで得られる指数を「ビッグマック指数」(Big Mac index)といいます。これ、イギリスの経済誌「エコノミスト」によって1986年に考案されたもので、数あるモノやサービスのなかでビッグマックが選ばれた理由は、ビッグマックは全世界でほぼ同一品質のものが販売され、原材料費や店舗の光熱費、店員の賃金など、さまざまな要素をもとに単価が決定されるため、総合的な購買力の比較に使いやすかったため(Wikipedia)とされています。
個人的には、この指数、分かりやすいうえ、おおざっぱだけど、けっこう実態に近いところを表しているように感じられるために気に入っていて、定期的にチェックし、また本ブログの過去記事でも何度か引用しているものです。
で、そのビッグマック指数の詳細を確認したら、2点ほど、あらためて思うところがあったので、本稿でご紹介します。1点目は、アメリカの物価の動きについて。
以下はエコノミスト誌のHPに掲載されている同指数のうち、基準となっているアメリカのビッグマック1個当たりの価格推移について、同誌が年に2回(1月と7月)同指数を発表するようになった2011年7月から今年7月までの値をグラフにしたものです。
これを見て驚かされるのは、この傾き、つまりアメリカにおけるビッグマック価格の上昇率の大きさです。2011年7月の価格が4.07ドルであったのが、それから9年後の先月は5.71ドルとなっているのですが、その通算の上昇率は約40%。これを年率換算すると平均でほぼ4%!の値上がりとなります・・・
上記のように、たかがビッグマックされどビッグマック、つまり、ビッグマックだけで物価等を論じるのはさすがに乱暴・・・とはいえ、その価格は上記のように原材料や賃金などの多くの要因に基づいて決定されるから、その動向は物価等の全体トレンドにかなり近い(?)といえるはず。で、同上昇率が年4%ということは、アメリカでは諸物価も同様に・・・って(それはちょっと言い過ぎとしても)、少なくともビッグマックに代表される外食代とか日常品の多くの価格もまた、毎年4%程度の値上がりを続けている、とみなすべきなのでしょう・・・(?)