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【独、重債務国のEU離脱は内心歓迎か?】「金融」が阻む欧州統合の夢②

2016-06-27 00:04:32 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 このたびの、まさか!の「Brexit」(英国のEU離脱)決定で、欧州各地では英国に続け!とばかりにEU(欧州連合28か国[英国含む])からの離脱を訴える政治勢力が支持を集めそうです。通貨「ユーロ」採用の19か国だけを見渡してもフランス、イタリア、オランダ、スペインなどで多くのナショナリスト的な政治集団が勢いを増している感じです。ということで近いうち、これらが政権を取った国のなかから英国みたいにEUを離れようとするところが出てくるかもしれません・・・

 ・・・が、実際にはその可能性は小さいでしょう。もっと実態に即して正確に述べると、彼らの多く、つまり「PIIGS」と称される重債務国(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)はEUから出ていきたくでも出ていけないはずです。その大きな理由は表記「金融」つまりこれら諸国は自国の金融システムがますます必要とするおカネをEU・・・の金融セイフティーネットである欧州安定メカニズムESM)に貸してもらわないとならないため。

 ・・・たとえばスペインは先述のとおり、すでにここから1000億ユーロもの融資を受けているわけですが、EUを去る気ならば同国はこれをESMに返済しなければならないし、今後、不可避となる(?)銀行への資本再投入資金を自分で調達しなければなりません・・・って、そんなこと、できっこないわけです、スペインには・・・。このあたりの事情はEUに対する反感が高いとされるギリシャやイタリアなどもみな同じ。したがって「ブリュッセル政府の言いなりにはなりたくないからからEUから独立だ!」みたいな感情論は、上記の金融事情から結局は消えざるを得ない・・・。自分からEU離脱すなわちESMへのアクセスを断とうなんて自殺行為以外の何ものでもないですからね、・・・。

 ・・・いっぽうのドイツ・・・に代表される、ESMへの出資率が高く、依存度が相対的に低い国にとって、Brexitで刺激された各国の脱EU運動の高まりは腹立たしくもあり、じつはありがたいこと(?)に思えるかもしれません。というのはこれら諸国にとって、経済力が相対的に弱く、ESMのおカネを無心するばかりの国が自分の方からEUを去ってくれた方が、EUの一体感維持やESMの運営がうまくできる(?)であろうから。

 さらにいうと、英国以外のEU加盟国の同離脱は通貨ユーロを捨てて自国通貨に戻ることを意味するのでしょうが、いまEUにあれこれ不平不満の思いを募らせている国(ギリシャやスペインみたいな国)がユーロから出ていったら、ユーロの信認はむしろ強化されるでしょう。他方、EU脱退国の独自通貨はユーロよりもずっと弱くなるはず。なのでドイツ等は表向きBrexitに渋い顔をして見せつつ、これを機にESMや自身に依存するだけの国や地域がユーロ圏から自ら出て行ってくれれば、なんて期待をしているかもしれない・・・(!?)

続く

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コメント (3)
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