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内需振興へ期待したい政治のリーダーシップ④

2012-10-17 00:03:01 | 日本

(前回からの続き)

 それではわが国経済の最大の課題「デフレギャップを埋める需要をどのように喚起するか」への対策ですが、本稿の冒頭に紹介した「円高」へのたび重なる懸念表明や日銀への一層の金融緩和圧力などをみるかぎり、おもな政党と政治家は、金融政策で円安を促すことで外需振興を図ることを目論んでいるのでしょう。

 こうした考え方が出てくるのは無理もない面があると思います。
 
 たしかに2008年のリーマン・ショックの前あたりまでは、欧米諸国や中国などへの「輸出」が日本経済を牽引していたといえます。

 不動産価格の上昇にともなう資産効果などで旺盛な個人消費を中心に好景気が続いていた欧米諸国への輸出は堅調だったし、これら諸国への最終消費財の輸出が増え続けた中国などの新興国の、日本製品(おもに資本財や中間財)に対するニーズが高まったことなどによります。実際、アメリカの住宅バブルピークとなった2007年のわが国の輸出高(90兆円あまり)と経常収支の黒字(約24兆円の黒字[約12兆円の貿易黒字を含む])は2000年代で最高を記録しています(データは内閣府・日銀)。

 このあたりは前回に述べた「GDPギャップ」でも読み取ることができます。下記グラフでも分かるとおり、輸出が好調だった2007年から08年にかけてはプラス、つまり(わずかながらも)「インフレギャップ」が生じています。内閣府のデータによれば2000年代に入ってGDPギャップがプラスとなったのはこの時期だけです。そして本稿前段でも紹介したように、この間のわが国のインフレ率は、これまたわずかですがプラスとなっています。



 こうして、政府も政治家も、そしておもな経済評論家やマスコミも、輸出に引っ張られて需要不足が解消した2007年前後を念頭に「あの頃のようにふたたび外需を盛り立てよう。そのためには輸出が有利になる円安環境が必要だ!」といった具合に思考してしまっているのでしょう。

 しかし・・・もはや欧米諸国の資産・国債バブルがはじけてしまった以上、この発想は今後は通用しないとみるべきではないでしょうか。

 アメリカも欧州も資産バブル崩壊やソブリン不安の深刻化で景気が鈍化しているほか、中国をはじめとする新興国を含めた今後の世界経済の見通しもきわめて不透明なため、これからしばらくの間、わが国は輸出に多くを期待できそうもないからです。

(続く)

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