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内需振興へ期待したい政治のリーダーシップ⑧

2012-10-25 00:02:31 | 日本

(前回からの続き)

 今月上旬に発表された調査報告書で、国際通貨基金(IMF)は緊縮財政が経済に悪影響を与えることを指摘したそうです。さらにユーロ圏のソブリン危機に触れ、ギリシャなどの重債務国に財政赤字削減を強制する場合のリセッションなどの副作用にも懸念を示しています。90年代末のアジア通貨危機の際、IMF融資を受け入れた国々に対してひたすら緊縮財政を求めたスタンスからずいぶん変わったものだ・・・との印象を受けます。

 こうしたIMFの指摘は、わが国にこそ当てはまると考えています。

 繰り返しになりますが、わが国は国民の潤沢な貯蓄を政府が低利で借り入れ、それを公共投資に使うことで、外国からの借金や必要以上の外需に頼ることなく、自らデフレギャップを解消して経済成長を達成できる力を持っています

 もちろん財政支出が拡大することで財政赤字は増加するものと思われますが、政府の借金(国債)は一方で国民が預貯金という資産(政府への貸付金)として今後も引き受けていくことでしょう。そして経常黒字の傾向が続き、対外純資産が現状程度(約250兆円で世界一!)の高水準を維持する限り、財政赤字が少々拡大したからといって、量的緩和のし過ぎで崩落の可能性すらある外貨に対して円や日本国債が売られる(金利が上昇する)おそれはきわめて低いはずです。

 にもかかわらず・・・兆円単位の巨額の需要不足があるのに、そして「流動性の罠」に陥って金融政策の効果がほとんど期待できないというのに、日本政府も政治家も金融緩和に固執するばかりで、いっこうに財政出動に向けたアクションをとろうとはしません。

 他方、冒頭のIMFの指摘は、ギリシャをはじめとする欧州PIIGS諸国などには適用は難しいだろうと思います。

 なぜならこれらの国々はいずれも慢性的な経常収支赤字国。つまり(ここがわが国とは決定的に違うところですが、)国内に資金がないため、足りない分を海外から借りてこなければ財政をマトモに組めないからです(イギリスやアメリカなどの経常赤字国も似たようなものです)。現状、そんな借金ができないことくらい、これら諸国の国債利回りを見れば誰でも分ること。だから結局、気の毒ですがこれらの国々には緊縮財政しかないはずです・・・(それができないのならばユーロ圏を離脱するということになりそうです)。まあ以前予想したとおり、近々ECBが通貨ユーロの暴落を覚悟でこれら諸国の国債を買いまくることになりそうですが(いよいよユーロ崩壊が現実味を帯びそうですね)。

 先日東京で開催されたIMF・世界銀行年次総会で、野田首相をはじめとする日本の閣僚陣は、円高が日本経済の下振れリスクとか、デフレ脱却に金融緩和が有効といったような金融政策頼み・日銀頼みの発言に終始していました。相も変らぬ「円安誘導による外需狙い」一辺倒です。そして景気浮揚への最大の障害を「円高」に求め、「円高が是正されないのは金融緩和が足りないからだ!」とばかりに日銀を責め立てます。まるで現在の日本経済が抱える問題の責任を日銀だけに押し付けているかのようです。

 それほどまでに日銀にお金を刷ってもらいたいのなら、この世界的な不況の中、金融政策による円安誘導だけで10兆円ものデフレギャップをいったいどうやって解消しようというのか、その具体的な道筋をはっきり示してもらいたいものです。もっともそうしないのは、日銀による過度の金融緩和は、需要不足で収入が増えない中での輸入インフレなどの弊害をもたらし、国民経済には悪影響のほうが大きいということを本当は知っているからかもしれませんが・・・。

 そんなメリットの乏しい日銀任せのスタンスは全面的に改めてほしいものです。財務官僚の言いなりになるのではなく、いまこそ政治家こそが政府を主導し、まもなく迎える世界恐慌という非常事態に果断に対応するため、せめてその「嵐」の間だけでも財政収支均衡の呪縛を断ち切って、内需振興に向けた大胆な財政出動へのリーダーシップを発揮してもらいたいと願っています。

(「内需振興へ期待したい政治のリーダーシップ」おわり)

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