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尖閣国有化が日本の安全保障コストを跳ね上げる?⑤

2012-10-09 00:00:05 | 日本

(前回からの続き)

 さて「尖閣」です。

 先に記したように、先月、アメリカの国防長官は中国に対して「尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲」と伝えたそうです。この言葉に代表されるように、日米安保が中国の対日強硬策を防ぐ重要な役割を担っていることは否定できません。その意味で、先述したわが国の外貨建て資産の目減り分をわが国の安全保障に必要なコストと捉え、「中国との戦争を回避できるのならこの程度の(?)為替差損なら安いものだ」という考え方も成り立つかと思います。

 それでも、繰り返しになりますが、「何もこの時期にわが国のほうから中国を無用に刺激する尖閣国有化をすることはなかったはずだ」と思ってしまいます。これまで書いてきたように、今回の尖閣国有化宣言の結果、わが国の安全保障コストが飛躍的に上昇してしまったと考えられるからです。今後想定されるさまざまな増税プランには、これらのコストを税収増で賄おうという意図が織り込まれるとみるべきでしょう。どうやら対中強硬論が叫ばれるほど、わが国の安全保障にかかる納税者の負担額は上がっていくことを覚悟しておいたほうがよさそうです。

 そうした意味でも、今回の尖閣国有化のきっかけとなった東京都による尖閣諸島の購入計画を発表した石原都知事の責任は重いと思っています。一方で、石原氏はしたたかな人(?)だから、安全保障から見たわが国の将来を憂慮し、日本政府に尖閣諸島を国有化させることで対中関係を悪化させ、日本を一層アメリカに従属する方向に追い込んでいこうとしたのかもしれないな、などと想像しています。もしそのとおりなら、氏の目論見は大成功といったところでしょうか。相当にうがった見方ですが・・・。

 現時点で先の見えない尖閣領有権をめぐる騒動と日中関係ですが、実は近いうちに中国は激しい混乱に巻き込まれて尖閣どころではなくなるだろうとみています。

 今後、中国では欧米の金融危機にともなう輸出の減少や経済成長の鈍化などにより景気が低迷し、一方でさらに所得や資産の格差が拡大して市民の政府に対する不満感や怒りが高まるでしょう。やがて反日デモに参加していたような市民層が一転、その矛先を政府や共産党指導部に向けて、格差是正や特権階級の汚職撲滅などを訴えるようになっていくでしょう。そうしたムーブメントが全国に拡大し、さらに過激化して、共産党政権を揺るがすかもしれません。

 それこそ王朝国家・中国の宿命。歴史を振り返ってみても公平で公正な社会の建設に失敗した中国のこれまでの王朝は判で押したように貧しい人たちの反乱で滅ぼされてきました。そして反・格差、つまり「平等」を理念に掲げたはずの現王朝・共産党政権も同じ過ちを繰り返しつつあります。きっと「歴史は繰り返す」ことでしょう。

 だからこそ、ここ数年の間は、わが国は領土問題などで中国をいたずらに刺激するのではなく、民間ベースの経済活動や文化交流などを中心に、一方であまり深入りしないスタンスを保ちながら上手に中国と付き合うのが得策。そうこうしているうちに中国のほうが上記のように勝手にオカシクなって、尖閣などにかまっていられなくなるでしょうから(?)。

 大騒ぎの中国大陸をよそに、尖閣諸島と周辺の海域が以前と同じように静かになり、わが国の実効支配が継続する、というのが希望的観測含みの個人的な近未来予想なのですが・・・甘過ぎますかね?

(「尖閣国有化が日本の安全保障コストを跳ね上げる?」おわり)

コメント
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