Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

例外を認めてまで

2017-06-18 22:39:00 | ノンジャンル
離島を除くと日本一人口が少ない高知県大川村で、高齢化が進み村議会議員のなり手がなくなってしまい、村議会の維持が不可能になる可能性が出てきたことから、直接民主制ともいえる町村総会への移行を検討していると報じられています。

議員は任命するわけにもいかないし、かといって誰も立候補しなかったら、というわけでの苦肉の策ですが、現行の地方自治法では、戦後の黎明期における離島での1件しかないわけで、制度にあるからと言ってそれでいいのかという話になります。
だいたい、町村総会が成立するのかどうか。議員になるのが「面刀vなのに、ステータスもない全員参加の「総会」に時間と手間を割いて参加するのか。制度はあっても非現実的な話に見えます。

そもそも、ではなんでそこまでして「大川村」を存続させる必要があるのか。地元の方には悪いのですが、まずそこから問うべきでしょう。過去70年近くで1件しかない。しかも「本土」では例がない特例を導入してまで自治体を存続させるのか。過去唯一の例となった離島の自治体では、地方自治法施行まで「名主」制度が例外的に残されていたくらいであり、合併させるわけにもいかないという事情があっての話と今回の話を一緒にすべきではありません。

直接選挙で選ばれた首長と、議員による間接民主制による議会。この地方自治、国政に共通する基本スキームを否定してまで自治体を存続する必要があるのか。残すべきは基本スキームであって自治体ではありません。
ダムの建設などで集落がなくなり、自治体として維持していけなくなったことで事実上「廃止」(形式上は隣接自治体が「合併」)された自治体と同じでしょう。

本件は地方の小さな自治体が生き残るために懸命、とャWティブに捉える人も少なくないですが、そういう人の中に、行政の効率的運営を目指して居住を中心市街地などに集中させる、というコンパクトシティを支持している人はまさかいませんよね。
効率を優先して新規の郊外居住を排除することを是としていながら、非効率の象徴ともいえる本件を擁護していたら、それは矛盾の塊です。

厳しいことを言うようですが、自治体としての最低限のスキームを維持できなくなったということは、自治体として存続することが出来なくなったということなのです。合併するにしても、合併先で議席を確保して旧村の意見を通すことは極めて厳しいですが、それが民主主義、「一票の平等」なのです。

その意味では、地方の声を聞け、という主張を批判して、原理主義的な「一票の格差」を指弾する人にとっても、本件は支持してはいけない話といえます。