Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

鉄道は街の知名度を上げない

2017-06-10 17:36:00 | 交通
JR北海道の路線維持の問題で、鉄道がなくなったら寂れるとか、誰も知らなくなる、という国鉄の特定地方交通線が廃止された30年以上前の思考で止まっている人が見られます。

鉄道さえあればその自治体は全国に知られる、というあたりはまさに噴飯物でして、今廃止の俎上に上がっている路線、いや、残るであろう路線でも同じでしょう。鉄道があるから名が知られているかどうか。
ヲタは駅名で知っているから錯覚するのでしょうが、普通の人から見たら鉄道があろうとなかろうと知られていない自治体は知られていないのです。

例えば釧網線。標茶町、弟子屈町、清里町、斜里町、小清水町と並んでいますが、鉄道があるから全国区、という自治体があるでしょうか。宗谷線だと昔CMで名をはせた比布町、そして和寒町、剣淵町、士別市、名寄市、美深町、音威子府村、中川町、幌延町、豊富町はどうでしょう。市制を敷いている士別市の知名度は、という話ですし、比布だって場所と同定できている人はまずいないでしょう。
残るであろう根室線でも幕別町、豊頃町、浦幌町、白糠町とありますが、皆さんご存知でしょうか。

それこそ30年前に鉄道が消えた自治体の方が有名なケースもありますよね。
中標津町、紋別市、岩内町、広尾町、松前町。鉄道がないけどよほど有名でしょう。それこそ鉄道があっても別の要員で知られているケースが大半で、空港のある女満別、インターのある清水(十勝清水)とか、前述の中標津、紋別もそうですが、「使われる交通機関」であれば知られるのです。

結局は鉄道じゃないんですよ。その町に魅力があるかどうか。知名度はそれに比例します。「鉄道の街」というのは確かにありますが、それは乗り換え駅などのジャンクションであり、空港がある、インターチェンジがあるというような、ただ鉄道があるというような単純なものではない特徴があるのです。

鉄道があれば有名になるか。北海道ではありませんが、高知県に顕著な例があるわけで、昔から鉄道も来ない遠い地であった土佐清水市、でもカツオやサバなどで知名度は高いですよね。土佐清水がブランドになっているようなものです。
一方でご近所には鉄道が20年前にようやく開通し、特急の終着駅として地名の露出も高い宿毛市がありますが、鉄道開通で全国にその名をとどろかせるとか、少なくとも土佐清水よりは有名になっていて然るべきでしょう、この手のヲタの論理であれば。



零戦を素直に評価したい

2017-06-10 16:05:00 | ノンジャンル
里帰り飛行を果たした零戦ですが、「侵略戦争」と騒ぎ立てる人が少なくない太平洋戦争当時の「戦闘機」とあって、左派系を中心に批判も出ています。

呉市の大和ミュージアムもその手の批判があったため、とってつけたような海洋関係の一般論をコーナーに持っていますが、軍事と無縁の技術はないと断言してもいいわけで、特に航空船舶の分野では、軍用のジャンルを無視した議論は不可能ですし無意味です。


(海から見た大和ミュージアム)

船舶はともかく、航空の分野では技術大国とされている日本ですら、世界の檜舞台に立てたのはライト兄弟から敗戦までの30年程度の短さです。何度も言いますが、ワシントンのスミソニアン航空宇宙博物館に「日本の飛行機」があるのは、1945年初飛行のジェット機「橘花」が最後なのです。そして世界を代表する第二次大戦中の戦闘機として零戦が展示されている。しかし戦後の日本は技術大国になったというのに、影も形もないのです。

戦後70年が過ぎ、未だに取り戻せない航空分野での「栄光」の代表が零戦でしょう。その技術というよりも歴史的意義を考えたら、純粋に今回の里帰り飛行は評価すべきであり、こういう飛行機を独自技術で作り上げたという「事実」を語り継ぐことが我々の責務です。特に戦後世代ではありますが、親世代など直接あの時代を知る世代から直接話を聞いてきた我々にとってもです。


(大和ミュージアムの62型)

問題なのはそこに「侵略のシンボル」といったイデオロギーを紛れ込ませること。
技術として、工業製品としての評価が「侵略」で歪められるべきなのか。思想的に正しい技術はよくて、間違っていたら良くない技術なんて話があってはなりません。

ちなみに零戦ですが、中国戦線から太平洋戦争開戦当初までは無敵の状態でしたが、一方で「こういう問題もあり、必ずしも優秀とは言えない」というよく言えば冷静に評価、悪く言えばケチをつける傾向もあります。
確かに太平洋戦争を通じて主力だったということは裏を返せば後継機に恵まれなかったとか、エンジン換装による性能向上もできなかったとか、通説となった問題点は少なくありません。


(側面から見る)

しかし首を傾げるような批判や、一面的に過ぎるのでは、という批判も見られるわけで、例えば最近でも「防弾板」の有無が重要な論点か、という批判を目にしましたが、確かに列強の同世代の戦闘機が防御に万全とは言い難かったとはいえ、戦闘機における致命的な被弾は火災である、というのはどうなんでしょうね。それこそ零戦が20㎜を含む4門の機銃を装備するまで(陸軍はそれより遅い制式化の隼まで)機首2門のしかも7.7㎜クラスの機銃が主流であり、列強でもこの時期翼内に機銃を装備するようになり、4門以上の機銃を装備しだした段階です。

結局その時期の空中戦はパイロットを射殺してケリがつくわけで、火災を起こす、というのが決め手であれば、貧弱な武装の隼があれだけ苦戦することはなかったわけですし、隼の武装や設計も「主目標」に応じたものになっていたはずです。
まあ攻撃は最大の防御というわけで、防弾板を必要としない完璧な性能というのも「防御」です。
あるいは百式司偵のように高速で逃げ切る前提で、最終的には「無武装」にしたケースもあるわけです。


(零戦のコクピット)

しかし総合的に判断すれば、相対的な優位をいつまでも確保できないだけに、防弾板がないことは批判の対象となるべき事象と考えます。同世代の列強の戦闘機が機銃の多数化に走ることで、パイロットの射殺ではなく機体の破壊で撃墜に至ることでパイロット「だけ」を守る必要性は薄れましたが、それこそ今回の22型がデビューしたソロモンでの戦いでは航空消耗戦の観を呈したわけで、パイロットの戦死をいかにして防ぐかが最大のテーマになっていましたから。

それと、胴体内タンクに消火器が装着されていたという話も初耳なんですよね。陸海軍問わず、翼内タンクに自動消火装置を設置したり、(人造)ゴム張りにするといった改良は戦争中期以降進められましたが、胴体内タンクにはそれがないという話はネット等でもヒットするのですが。中には戦争後期に胴体内タンクの消火装置設置の改善要求という具体的事例も出ていますし。






白い幕の向こう側

2017-06-10 15:58:00 | 交通
先週幕張で行われたエアレースですが、零戦の「里帰り飛行」もあり、世間の注目を集めました。
まあ3回目ともなると運営側もこなれてきたようですが、幕張から稲毛にかけての海岸線の「封鎖」も手慣れたのは残念です。海浜大通りに何ヶ所かある歩道橋も立ち止まっての「タダ見」をさせないために(あくまで安全対策名義ですが)警備員を置いて追い立てていましたし。


(「タダ見」は減りましたね)

会場との間を仕切る「柵」も年々見えない度が上がっており、今年はほぼ見えない感じ。逆に沿道に出張る人は明らかに減っており、有料入場者のためのイベント、という色彩が強くなっています。


(今年は全く見えません)

そういう「すきま風」のせいでしょうか、ネガティブな情報というか報道も例年になく出ており、平日に実施されたテスト飛行が近接する学校などで騒音問題になっているというのもその一例でしょう。
ただこれは確かに騒音が高いわけで、学校で実施される予定だった英検の日程が変更になった例もあります。


(花見川はまあ見えました)

飛行機のエンジン音は77デシベルと基準値オーバーですが、「トラックに比べればマシ」「200m離れると相当低減される」と大会関係者の声を伝えていましたが、実際に日曜日に海浜大通りを走りましたが、自動車の走行音とは全く違う甲高いエンジン音が、思い出したように響く、という騒音特性も考えると、「相当障る」類の騒音に感じました。また、騒音発生源が中空ということで、クルマとは聞こえ方が違う、樹木や塀などで減殺されない、という事情も考慮すべきでしょう。


(飛行機はチラ見程度)

浦安の滑走路の整備費用も馬鹿にならないわけで、運営経費の回収を考えると極力「タダ見」は防ぎたい気持ちは分かりますが、地域が単なる「通り道」になればなるほど、騒音に代表される弊害への目も厳しくなるわけで、幕張での開催が歓迎されなくなる最悪の事態も想定できます。


(浦安の「滑走路」)

その集客の目玉となったのが零戦やDC3の展示飛行ですが、エアレースには全く興味もないのに零戦を見るために入場料を払う、という人も少なくなかったでしょう。もちろん「食わず嫌い」で実際にエアレースを見て「開眼」するケースもあるでしょうが、社会的注目度の高い零戦を「抱き合わせ」に使うやり方はいかがなものかとも感じます。


(西側に格納庫などを設置)

ちなみに今回の零戦は22型ですが、メディアが報じた土曜の展示飛行では脚を出したままの飛行のようでした。
もちろん零戦は主脚も尾輪も引き込み式ですから、脚を出したままの飛行シーンには激しい違和感を感じたのですが、何か事情があったんでしょうね。ただ日曜は脚を引っ込めての飛行だったようで、その違いが不明ですが。


(海からは見放題?)