Straphangers’ Room2022

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官製破綻

2015-01-29 23:53:00 | 交通
スカイマークが民事再生法の適用申請をしましたが、運航中の航空会社の経営破綻としてはエアドゥに次ぐ事例になりました。
A380購入による国際線進出と言った拡大路線が頓挫し、A330導入による機材大型化が致命傷になった感がありますが、これまで繰り返されてきた拡大と集中の振れ幅が大きくなりすぎて、スピンアウトした格好です。

今回の経営破綻で「ほれみたことか」という声が早速湧き上がっていますが、経営の問題も確かにあるものの、極めて異例な破綻劇であることが見逃せませんし無視してはいけません。

そう、国交省による介入がその一因になったと言うことです。今回の経営破綻は、借金まみれの会社で銀行が資金を引き上げた、というようなものではなく、無借金経営の会社が業績の急降下でキャッシュショートの危機に瀕したためと言えます。
資金を食いつぶす過程で再建に目途が付けば破綻は免れるわけで、過去に何回も路線政策で「失敗」しても転進出来たのは、資金面での余裕が大きかったわけです。

当然資金を食いつぶしている期間が長くなればキャッシュショートを起こすわけで、早期に再建策をまとめる必要があるのですが、今回国交省が介入して、2ヶ月という時間を空費したことでキャッシュショートの危険水域に突入し、異例の両レガシーとの提携がスタートする前に力尽きました。このタイプの経営危機で一番やってはいけない対応を国交省が主導したのです。

一方でエアバス社との違約金問題を抱えていることを考えると、違約金債務を破綻処理でカットしてしまう、という荒業もあるわけで、それをあからさまに言うわけにはいかないがための国交省の行動だったと考えたくもなりますが、では強制的にカットできる会社更生法ではなく、あくまで債権者との間の「和議」になる民事再生法を選択した時点で、そういう目論見がなかったことが分かります。

結局は会社の自爆に加え、監督官庁が足を引っ張ったことで破綻した、という結果になります。