土佐電鉄の社長、会長が、株主に対して暴力団組長の名前を出した件ですが、暴対法ではなく「暴力行為等処罰に関する法律」の対象ですね。暴対法はあくまで暴力団員が対象であり、土電のトップはさすがに杯を受けていないでしょうからいちおう組員ではありません。
暴力団との「お付き合い」ですらアウトなのに、積極的に使ってしまったのでは救いようがありません。
たいていの企業が備えている「倫理綱領」の類では、反社会的勢力とは一切関わらない、と言うような表現であり、暴力団の名前を出して威嚇するような事態はさすがに想定していません。
東証が上場企業に要求する行動規範では、会社やその役員が暴力団でないことを遵守事項としていますが、まあ暴力団ではなくても「昵懇」であることを謳い、名前を出すという行為は、自身が暴力団とのつながりを誇示したわけで、行動規範違反に近い状態といえます。なお、この事態が株主や投資家の信頼を著しく損ねると判定された場合、上場廃止処分となりますが、それくらい重い事態です。
例えば西武ホールディングスが東証に提出している「コーャ戟[トガバナンス報告書」を見てみましょう。
「反社会的勢力等からの接触又は不当要求を受けた場合は、当社内及びグループ各社から、随時当社担当部へ相談ができるようにしており、専門家や警察への通報・相談等をおこない適切な措置を講ずる体制となっております。反社会的勢力に対しては毅然とした態度で臨み、脅し・恫喝等に屈せず一切の関係を遮断し、これらの勢力の活動を助長するような行為は一切おこないません。」
とあるわけで、反社会的勢力の活動を助長するような行為は一切おこないません、と宣言しており、土電のようなケースは完全に違反します。
そして明るみになった事実を見ると、土電のみならず県の対応もひどいものです。
「事件」があったのは昨夏とのことで、土電の対応も直後には判明していたそうです。株主も「カタギ」ではなさそうですが、だからといってイリーガルな対応は許されませんし、暴力団追放は官民挙げての大前提であり、県条例もあるというのに、「もみ消し」とも捉えかねない消極的対応で済ませてきた経緯の説明も必要です。場合によっては、高知県も「共犯」と言ってもおかしくないですから。
土電の対応は論外であり、スクープされるまで半年以上「無対応」であり、「犯人」が経営していたわけです。
トップの「犯罪」であり、内部統制の範囲外ともいえますが、取締役会などのガバナンス体制が全く機能しておらず、代表権のある取締役が会社内で「犯罪」を犯し、それを放置してきた以上、現行のボードメンバーも全員責任は免れません。
この問題に対する反応を見ると、行政も監督官庁もメディアもどこか鈍いです。いわんや「社会派」諸氏の反応は言わずもがなです。それは言い換えればそうした人たちのコンプライアンスに対する意識の低さです。
そして今回のケース、相手の株主の対応は関係ないのですが、どうもそこを相対化して免責してしまっている気がしますし、「路面電車」の事業者ということで評価が甘いのかもしれません。
土電ほど酷くない事例でも、ガバナンスの範疇でコンプライアンスの問題が発生すると経営トップが引責するのが当然と言う時代になっていることがわかっていない人が多いです。土電は上場会社ではありませんが、公益企業として、税金を原資とした公共からの補助を受け入れているのだから、より高いコンプライアンス意識とその結果が求められます。だからこそ「お取り潰し」を視野に入れないといけないのであり、それは何も突飛な話でないのです。
暴力団との「お付き合い」ですらアウトなのに、積極的に使ってしまったのでは救いようがありません。
たいていの企業が備えている「倫理綱領」の類では、反社会的勢力とは一切関わらない、と言うような表現であり、暴力団の名前を出して威嚇するような事態はさすがに想定していません。
東証が上場企業に要求する行動規範では、会社やその役員が暴力団でないことを遵守事項としていますが、まあ暴力団ではなくても「昵懇」であることを謳い、名前を出すという行為は、自身が暴力団とのつながりを誇示したわけで、行動規範違反に近い状態といえます。なお、この事態が株主や投資家の信頼を著しく損ねると判定された場合、上場廃止処分となりますが、それくらい重い事態です。
例えば西武ホールディングスが東証に提出している「コーャ戟[トガバナンス報告書」を見てみましょう。
「反社会的勢力等からの接触又は不当要求を受けた場合は、当社内及びグループ各社から、随時当社担当部へ相談ができるようにしており、専門家や警察への通報・相談等をおこない適切な措置を講ずる体制となっております。反社会的勢力に対しては毅然とした態度で臨み、脅し・恫喝等に屈せず一切の関係を遮断し、これらの勢力の活動を助長するような行為は一切おこないません。」
とあるわけで、反社会的勢力の活動を助長するような行為は一切おこないません、と宣言しており、土電のようなケースは完全に違反します。
そして明るみになった事実を見ると、土電のみならず県の対応もひどいものです。
「事件」があったのは昨夏とのことで、土電の対応も直後には判明していたそうです。株主も「カタギ」ではなさそうですが、だからといってイリーガルな対応は許されませんし、暴力団追放は官民挙げての大前提であり、県条例もあるというのに、「もみ消し」とも捉えかねない消極的対応で済ませてきた経緯の説明も必要です。場合によっては、高知県も「共犯」と言ってもおかしくないですから。
土電の対応は論外であり、スクープされるまで半年以上「無対応」であり、「犯人」が経営していたわけです。
トップの「犯罪」であり、内部統制の範囲外ともいえますが、取締役会などのガバナンス体制が全く機能しておらず、代表権のある取締役が会社内で「犯罪」を犯し、それを放置してきた以上、現行のボードメンバーも全員責任は免れません。
この問題に対する反応を見ると、行政も監督官庁もメディアもどこか鈍いです。いわんや「社会派」諸氏の反応は言わずもがなです。それは言い換えればそうした人たちのコンプライアンスに対する意識の低さです。
そして今回のケース、相手の株主の対応は関係ないのですが、どうもそこを相対化して免責してしまっている気がしますし、「路面電車」の事業者ということで評価が甘いのかもしれません。
土電ほど酷くない事例でも、ガバナンスの範疇でコンプライアンスの問題が発生すると経営トップが引責するのが当然と言う時代になっていることがわかっていない人が多いです。土電は上場会社ではありませんが、公益企業として、税金を原資とした公共からの補助を受け入れているのだから、より高いコンプライアンス意識とその結果が求められます。だからこそ「お取り潰し」を視野に入れないといけないのであり、それは何も突飛な話でないのです。