世界の情勢や技術の進化に対して、適切な対応していくことが、人間社会の基本的な姿勢である。
しかし、目先の安心を求める傾向が強くなると、対応させる行動が保守的になり、前例踏襲の安易な道に逃げ込む場合が多くなる。
また成功事例に学ぶ姿勢から、実績のある権力者の言い分が通用して、その人の意向を、暗に優先する「忖度」の心情が勝る場合が多い。
これは、【寄らば大樹の陰】の心情であり、将来に対する変革を避ける姿勢で、人間の価値である「考えて協働する知性」をとうざけてしまう。
日本はこの心情が、1990年代のバブル崩壊後は、広く蔓延ってしまい、守りの姿勢で前例踏襲と権力者への迎合がよしとされる風潮となった。
この空気に支配されてきた日本は、空白の20年と言われるくらいに、世界の進歩からズルズルと遅れて、各方面で、時代遅れが露呈してしまった。
原発大事故以後は、電力エネルギー事業の閉鎖的体質が露呈して、国民の信頼を失いかけない、前近代的な保守姿勢が、大きな改革課題となっている。
今回の「新型コロナウイルス感染流行」においては、行政側の非効率や時代遅れのシステムの弊害がブレーキとなって、国民の不満と不安が集中した。
それを重要視した菅内閣では、行政の効率改善を目指して、「デジタル化の遅れ」を国策として取り戻す覚悟を宣言した。
また【地球気候変動危機対策への遅れ】も、エネルギー業界の対応遅れをとり戻す「2050年CO2排出ゼロ」の目標を、最重要国策として宣言した。