庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

海外への移転を余儀なくされる産業を国策で支援する愚。

2013-04-29 | 経済問題
日本は1990年代の後半から2000年代初頭にかけて、次世代の新産業の目玉として、「情報産業」を国策として重要視する成長戦略を採用した。
時の「森首相」が、[IT]をイット産業と呼び中身も良く解らないママに、アメリカの流れに追従して、持て囃した時期であった。
コンピュータの基本部品である「集積回路部品」の製造産業をハイテク商品として、国策でのバックアップをしたり、コンピュータを作動させる「ソフトウエア製作」をする技術者の養成に力を入れたりした。

今や、国内メーカーの[IT関連産業]は苦境にあえぎ、国が支援した国策企業の「エルピーダメモリー(株)」は、2012年に倒産してアメリカ企業の子会社にされた。
また、自動車関連の[IT部品メーカー]は赤字連続で、政府系ファンドに救済されて再建の途上にある。
いずれも韓国などの海外製品に価格競争で敗退して、企業経営が行き詰まりの状況に追い込まれた。

モノ作りでは「先行して付加価値の高い製品」を開発してきたが、「ハイテク産業」でも、製造設備の新設などで「韓国や新興国の発展」に伴って、海外生産品の方が有利になってしまう。
特に「装置産業」では、製品作りの設備が「大量の電力を消費」するので、電力費の安い国での生産品が価格競争で有利になってしまう。
韓国は日本の電力費に比べて、企業向け電力費は半分程度に国策で抑えている。
日本では電力の地域独占体制によって、価格の高止まりが続き、不透明な原子力行政のツケが電力費に回されて、国策の不備が足を引っ張った格好である。

20年以上も懸けて「国の将来の新産業と位置付けた[IT]情報産業」は、日本の経済の足を引っ張るお荷物産業に転落してしまった。
新産業の候補としての条件は、[1.高付加価値]は、満たしているが、【2.技術移転にさしたる時間はかからない】弱点が、露呈してしまった。
【3.製品は軽・小型で輸送費は最小】であり、世界中の電力費が安い地域で作った方が、日本製よりも「価格競争力は強い」。

ここで、新産業の条件に付け加える項目は、『5.製造に電力(エネルギー)を多消費しない。』という条件である。
【太陽光パネル産業】は電力多消費であり、海外移転をされるのはすぐソコだ。