庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

安倍内閣の成長戦略の入り口になる「電力システム改革」。

2013-04-03 | 快適エネルギー社会問題
電力料金の値上げが申請されて、関西電力は平均9.75%、九州電力は平均6.23%、家庭用電力が5月1日から値上げされる。
東京電力はすでに昨年9月に8.46%値上げされて、さらに再値上げの恐れもあると伝えられる。
政府認可が要らない「工場、ビル向」の電力は、中身の審査もなしに、電力会社の一方的な通告で、東電、関電、九電とも12%~17%も値上げしてしまった。
地域独占の経営なので、電力消費者はいやおうなしに、この値上げされた電力を買うしかなく、経済への悪影響は計り知れない。

資本主義による競争原理が働かない「社会主義的料金決定」の仕組みが、いかに不合理であり、電力会社の傲慢経営が経済悪化の大きな原因となっている。
この不合理は既に20年以上も指摘されていて、2000年初頭には「地域独占体制に終止符を打つ」狙いで、「電力業界改革の一丁目一番地」となる『発電・送電の分離制度』の検討が進められた。
しかし、自民党の電力族の既得権擁護の抵抗にあって、完全に改革の動きを止められてしまった。

民主党に政権交代しても、支持基盤の電力労組関係の抵抗で、『発電・送電分離』は、政権公約からも外されて、電力業界の傲慢ぶりが助長されてしまった。
その結果が安全性に対しての作られた神話を強化してしまい、原発の大事故に結び付いたと言える。
さすがの自民党も社会の論調の変化には、対応せざるを得ずに、安倍内閣は『発送電分離を含む電力システム改革』進める方針を閣議決定した。
それでも、電力族の抵抗により、実施への障害工作を続けている。
送電網を分離すると安定供給が保証できない、として「国民に脅しをかける」電力会社幹部は、すでに国民の敵となっている。

東京電力の経営陣は、さすがに原発大事故の責任もあって、『発電・送電の分離』は必須と認識し、2013年度の経営計画を見直した。
社内を「発電・送配電・小売」の部門ごとの収支を個別に管理し、ムダを削減して「年1千億円のコスト低減」を図る方針とした。
殿様商売から脱皮する動きに、転換せざるを得ないと覚悟を決めた様である。
この様に意識転換をすれば、電力料金の値上げなどは、一切、必要のない筈だ。

『発送電分離』を1日も早く実行することが、経済再生への要となっている。