なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

上腸間膜動脈症候群

2021年10月24日 | Weblog

 1週間前に軽度の肺炎で入院した91歳男性は抗菌薬投与で軽快していた。夜間にトイレに行こうとして転倒して頭部に切創をつくり、当直医に2針縫合してもらった。

 抜糸したら退院のつもりでいたが、水曜日の朝から胆汁性嘔吐が断続的にあった。腹部CTで確認すると、胃から十二指腸水平脚まで著明に拡張していた。あれか、と思った。

 外科医に相談すると、上腸間膜動脈症候群だろうと言われた。34㎏のやせた老人で、入院後も食事は摂取していたので、さらに痩せたわけではない。

 NGチューブを挿入して、胆汁混じりの消化液を600ml吸引した。同量の空気も引けた。引けなくなったところで、そのまま留置した。

 横臥すると余計に十二指腸が圧排されるので、前屈みにしたい。背中が曲がっているので、半座位にするとちょうど前屈みのようになった。

 とりあえず、翌日まで入れて、翌日の状態でNGチューブを抜くか、そのまま挿入を継続するか決めることにした。家族には保存的に治療して、難しい時はバイパス術もあると説明した。

 2日間800~900ml/日消化液が吸引されて、通過する見込がなく、地域の基幹病院外科に搬送となった。

 

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