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Chang! Blog
福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです





 2005年の台風被害で休止・廃線になった高千穂鉄道、高千穂駅。廃線から10年以上経た今も、駅は現役当時の姿のままです。というか、むしろ賑わってる・・・?




 現在は、「高千穂あまてらす鉄道株式会社」が管理者となり、駅内は鉄道公園に、そして旧高千穂鉄橋までは「スーパーレールカート」を走らせています。
 家族で楽しめる鉄道テーマパークといった趣で、休日は人気を集めるレジャースポットに生まれ変わりました。


 中でも人気の高いレールカートは、早い時間に満席の情報を得ており、乗れないものと諦めてました。しかし窓口で見てみれば、次発の14時発に1席だけ空席が! 家族連れのスポットだけに、1席ではなかなか売れないんでしょうね。
 ヨメさんも後押ししてくれたので、待ってる間にと生ビールを1杯おごり、カートの列に並びました。運とヨメさんに、感謝。


 嬉しいことに、あまてらす鉄道の乗客は増加基調。以前は、軽トラックベースの素朴なものだったのが、今年3月、30人乗り・2500ccの力持ち「グランド・スーパーカート」に入れ替わりました。
 ピンクが基調の塗装は、高千穂鉄道のTR型と同様。このまま延岡まで走ってくれないものかと思います。


 運転台を見てみれば、鉄道車両とは似て非なるもの。大型トラックっぽいです。
 簡易な車両で運行できるのは、あまてらす鉄道が鉄道ではなく、公園内の遊具の扱いだから。錦川清流線の終点から伸びる「とことこトレイン」と同様の解釈です。


 ロングシート?に満員のお客さんを乗せて、出発進行。もう二度と乗れないと思っていた、高千穂鉄道の線路の上を走り始めました。
 天岩戸駅までの間にはトンネルがあり・・・


 トンネル内はイルミネーションで輝きます!
 錦川のように、トンネルそのものが発光しているわけではなく、車両から投影されたもの。さすがは純民間企業、手作り感とアイデアで勝負してます。


 1駅目の天岩戸も現役時代そのまま。将来構想では、こちらも観光拠点として活用していきたい意向のようです。


 鉄門をくぐれば、いよいよ東洋一の大鉄橋、高千穂橋梁へと足を踏み出します。


 峡谷の中に放り出されたような感覚!高千穂鉄道時代のトロッコ列車も解放感はありましたが、屋根がない分、よりスリルは増したように感じられます。




 車両から身を乗り出してみれば、川面ははるか眼下に・・・もはやリアリティを感じない高さです。
 鉄橋が赤さびてしまっているのも、ちょっとスリリング。もちろん安全点検は行っており、昨年の熊本地震後は安全確認のため、夏頃まで運行中止に追い込まれたとか。




 運転士さんがシャボン玉を飛ばすと、子どもたちからは歓声が上がりました。


 しばしの空中浮遊を終え、前後を入れ替えて高千穂駅方面へと戻ります。


 高千穂鉄道として復活できなかったのは残念だけど、自由度が増した分、観光施設としての魅力が増していたのは嬉しい想定外でした。
 好調な業績が、ぜひ延伸への後押しになればと思います。


 レールカートに乗れなくとも、現役時代そのままに保存してある、高千穂駅構内の見学も楽しいですよ。


 2両が保存してある高千穂鉄道時代のディーゼルカーは、車内まで入ることができます。車両の下まで潜り込めるのも、他ではできない体験です。
 監視の人はおらず、安全管理は自己責任。公営ではないので、あまり細々したことは言わなくてもいいのかも。


 線路は、車庫から100mも行かない地点で途切れます。世が世なら、南阿蘇鉄道まで通じていた線路です。
 まさか南阿蘇鉄道まで窮地に陥るとは、しかも地震の被害のために。九州横断の夢はついえても、どうか少しずつでもレールが戻ってほしいと願います。


【高千穂回遊バス】高千穂駅⇒高千穂峡


 14時55分の高千穂回遊バスに乗って、高千穂峡へと下ります。最終便なので、高千穂峡で降りてしまうと、他の手段で戻る他ありません。
 えらい山道をクネクネと下っていくので、こんな道を歩いて戻るのは敵わんなあと思いますが、バスを一方通行で「回遊」させるための迂回路なので心配なく。


 約15分で高千穂峡へ。もっとも晴れてほしかったタイミングで、晴れてくれました。
 木々の若葉を通して降りてくる日差しは、爽やかで柔らかです。


 高千穂といえば、渓谷のボート巡り。そもそもこの旅、高千穂峡でボートに乗ってみたいというのが発端でしたが、3時間待ちとあっては諦めざるを得ません。
 まあ他に「できたこと」はたくさんあるので、よしとしましょう。


 渓谷を渡る風に吹かれながら木々の間を歩くのも、気持ちがいいものです。


 高千穂で好きなポイントの一つ、1代目、2代目、3代目の橋を見上げられる場所。技術の水準は違えど、谷を渡りたいという人間の要求に応えてきた技術の歴史が、一同に会します。


 というわけで、橋に乾杯。


 シャトルバスに乗れば100円で高千穂神社まで行けるのは分かっているのですが、遊歩道の看板も高千穂神社を指しているので、歩いて行ってみることにしました。酔っ払いがどこまでも歩くのは、3日前と変わりません。
 九州オルレのコースでもあり、見慣れた2色のリボンを目印に歩きます。


 階段の傾斜と高低差は想像以上のもの。高千穂神社から渓谷まで歩き、帰りをバスに乗った方が賢明だったと気付いたのは、行程も中盤を過ぎたところでした。
 時間があるのは幸い。休み休み、時ならぬ山登りです。


 境内の後ろから失礼!高千穂神社にたどり着きました。
 バスセンターまでは徒歩15分の距離です。


 バスセンターまでの途中には、がまだせ市場なる物産館があり、お土産の買い出し。
 夕方5時になり、高千穂牛レストランもオープンしたところでしたが、あまりの値段に後ずさりしました。


 バスの時間まで1時間少々。旅の終わりに一杯やりたいなと思い、バスセンター周辺をウロウロしてみましたが、開いているお店は1軒だけでした。選択肢はなく飛び込んだ「居酒屋けんちゃん」、結果的には とんでもなく当たりのお店だったわけで…


 神楽酒造の法被が飾られた店内。著名人も多数、訪れているようです。


 高千穂牛の串やら…


 肉厚のシイタケ焼きやら…


 もちろんビールから焼酎まで、いい気分になるまでお酒もたっぷり。お腹も大満足、バスの中で飲む用にワンカップの焼酎まで持たせてもらって、2人で4千円でした!
 また立ち寄らせて頂きます。


【ごかせ号】高千穂バスセンター⇒久留米インター


 18時40分発の高速バス「ごかせ号」が、事実上の帰路。久留米まで3時間近くかかるとはいえ、座っていれば山奥の神都から地元まで帰れるのですから、便利なものです。
 バスの外観を見て嫁さんが一言「はかた号だ!」。博多~東京間の夜行バス「はかた号」は2階建てバスを経て、現在は個室付きバスに変わっていますが、このデザインは僕も「はかた号」を連想します。


 車内も独立3列シートの、夜行バス仕様。ゆったり寝て過ごすには最高の車両です。
 4年前に乗った時は窓も夜行仕様、つまり光漏れがないよう窓の1/4が遮光フィルムで塞がれており、景色が見えなくて閉塞感がありました。今日のバスは窓が大きいままで、日没までは車窓を楽しめそうです。


 高千穂峡を眼下に、はるか久留米への旅が始まります。


 陽も沈めば手持ち無沙汰。独立3列シートなので嫁さんとの会話もままならず、スマホに熱中という、現代人にありがちな時間の過ごし方に帰着します。
 休憩時間は、ありがたい気分転換です。熊本らしく「ヒライ」が営業主体のSAは、すでに店じまいした後だったのは残念。


 すっかり夜行バスの旅の気分だけど、熟睡すれば福岡まで連れていかれかねないので注意。


 熊本地震以降、2車線・対面通行での暫定運用が続いていた区間も、GW直前に4車線復旧を果たしました。おかげで慢性的に発生していた渋滞も解消され、スムーズです。
 昨年の暫定復旧もGWまでに行われており、その影にあった努力を想うと、感謝しかありません。


 ほぼ定刻の9時半、久留米インター着。こんな遅い時間に帰ってきても気が軽いのは、明日も休みなればこそ。ありがたき5連休です。


 久留米インターで高速バスを降りた後は、東合川商工団地まで5分ほど歩いて、空港発の高速バスで久留米市内に向かうのが、お決まりの乗り継ぎルートでした。昨年9月のルート変更に伴い高速バスの市内利用ができなくなり、今は徒歩10分の合川まで出る他ありません。
 暗いバス停から20番のバスに乗れば、一気に日常へ帰って来た気分になったのでした。

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 最終日の朝は、早起き。広い宮崎県を南から北へ大縦断するため、朝7時前には出発です。
 夜中に雨が降ったらしく、商店街には水たまりができていました。もともとはアーケードがあったので、路面の雨水排水はあまり考慮されてないのかな。


 街中を抜け、JR日南線の油津駅にやってきました。
 SUN Q パスを持っているので、バスならタダになるところ。しかしバスで行くと、どうしても今日の目的地・高千穂入りが遅くなってしまうので、油津⇒宮崎間だけは別払いでJR利用にしました。


 サボテンが威嚇する駅。さすがは南国、宮崎です。


 乗り慣れた非電化ローカル線の雄、キハ47系に乗り、今回の行程でほぼ唯一の汽車旅がスタート。ボックスシートに座り景色を眺めていると、心が落ち着きます。
 もちろんローカルバスの旅も好きだけど、僕の「本業」はやっぱりこっちなんだと思います(笑)。


 油津~宮崎市内はJRで1時間半、宮交バスで1時間40分と、所要時間では大差ありません。いずれにせよ今は、県都までの時間距離はなかなかのものです。
 車窓にはJRのライバルになりうる、東九州道の工事が進んでいます。企業誘致を目指す日南市にとっては、待望の高速道路だと思います。


 「鬼の洗濯岩」は、JRにとっても名物車窓。観光特急「海幸山幸」は一時停止する景勝地も、普通列車はなかったことかのように走り抜けます。


 大淀川を渡れば、1日ぶりの宮崎市内です。


 宮崎駅には定刻に到着。バスへの乗り継ぎ時間は8分しかなかったので、ありがたかったです。
 改札口には、ついに2015年、宮崎にも導入された自動改札機が。合わせて導入されたICカードはバスとも共通利用できるので、一気に便利になりました。


【宮崎交通・高速バス】 宮崎駅前⇒高千穂バスセンター


 高千穂までは、土休日限定で1往復のみ運行の、直行高速バスを予約しました。
 宮崎駅前を8:40に出発し、高千穂までは約2時間半。JRと路線バスを乗り継ぐよりも、早くてらくちんです。


 座席は、この旅初のゆったり3列独立型リクライニングシート。夜行バスのような仕様です。リクライニング角も深く、ゆったりくつろげました。
 乗車率は6割程度。満席になることもあるようなので、早めの予約が吉です。


 ようやく恵まれた晴天。大きな窓からは、宮崎の山々を見渡せます。何でもないような景色にも、外国人観光客が盛んにシャッターを切っていたのが印象的でした。


 海側に目を転じれば、波打ち寄せる日向灘も見渡せます。リクライニングを倒し、大きな窓から景色を眺めて、時々まどろむ。高速バスの旅は、こうでなくっちゃ。


 延岡JCTからは、九州中央自動車道なる耳慣れない高速道路に入りました。最終的には熊本県側の、九州自動車道・嘉島JCTに至る計画ですが、まだ調査にすら着手していない区間もあります。
 延岡側は、市内の北方までが供用区間。完成2車線の区間も見られ、制限速度は80km/hです。


 道の駅北方よっちみろ屋で、休息。


 地元農家さんが販売する店舗も出ていました。果物だけではなく、果物を加工した製品も扱っています。1次×2次×3次の、いわるゆ6次産業というやつですね。


 10時のおやつは金柑のクレープ。皮ごとがぶりで、柑橘系の香りが広がりました。


 延岡から高千穂へは、峡谷をいくつもの橋で渡る「神話街道」を通ります。旧来の五ヶ瀬川沿いの集落は、はるか眼下です。
 以前からの旧道を路線バスで通ったことがありますが、よく大型バスを通せるなと感じるほどの隘路でした。1995年のバイパス開通は、革命的な出来事だったんでしょうね。


 もしバイパスがなければ、平行する高千穂鉄道はどうなっていたのかな…2005年の台風被害で命運尽きた鉄道の跡は、バスの車窓からもチラチラ見えます。


【高千穂回遊バス】高千穂バスセンター⇒天岩戸神社⇒高千穂駅


 ほぼ定刻に、高千穂バスセンターに到着。県内の移動で、接続もスムーズだったのに、油津から4時間20分を要しました。宮崎県はでっかいどう。
 高千穂町内の観光地は、バスで回ることも難しくはありません。特に土日なら、主要な観光地を巡る高千穂回遊バスが便利です。


 岩戸方面は「九州のバス時刻表」で検索すると、1日4本の回遊バスしか出てきませんが、実際は町が宮交に委託しているコミュニティバス「ふれあいバス」も走っていて、組み合わせると自由度が増します。
 高千穂峡方面も、高千穂神社まで歩けば、時期によってはシャトルバスが出ているので、公共交通派は事前にリサーチしておきましょう。


 高千穂回遊バスは、派手な外観で目立ちます。


 車内にも、運転席の後ろに神楽面が飾ってありました。


 約20分で、岩戸着。天岩戸神社の門前町です。
 時間は昼12時、お腹も空いたので、まずは腹ごしらえをすべく飯処を探しました。


 参道の端、「居酒屋」の看板の方が目立つ なかや食堂さんで、昼ごはん。


 特に名物といった料理ではなかったけど、やさしいおかみさんの作る手料理、おいしかったです。


 お腹もふくれたところで、天岩戸神社へ参拝。まずは岩戸川の渓谷を挟んだ北側に鎮座する、東本宮を訪ねます。


 うっそうとした森の中の階段を登る参拝客は、参道の賑わいに比べればわずか。訪れる人は少ないようです。


 東本宮は『天照皇大神が天岩戸からお出ましになられた後、最初にお住まいになられた場所を御祀りしている神社』(公式HPより)。どちらかというと、隠れ家のような雰囲気は東本宮の方が強いように感じました。


 バス停に戻り目の前にある西本宮は、門前町も大きく、観光地的な空気も感じられます。


 新緑の木々がまぶしい。


 西本宮は『天照皇大神が御隠れになられた天岩戸(洞窟)を御神体として御祀りしている神社』(公式HPより)。観光客の姿は、東本宮よりずっと多かったです。


 13時30分の回遊バスに乗り、高千穂駅で下車。高千穂鉄道の休廃止から10年以上経った今も、バス停名には「駅」が残ります。そして駐車場には、車もいっぱいです。
 つづく。

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