sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

福田平八郎とモネ

2024-04-07 | 芸術、とか
大阪の中之島美術館での展示を二つ見た。福田平八郎とモネ。
元日本画学生なので福田平八郎はどこかで展示があるたびに何度も見てきたけど、
今回初めて見たものもいくつかあって、図録買わない派なのに買ってしまった。
天才である。好き。



鮎の鱗を数えると言ったのはこの画家だったか、
好きな日本画はやはり写生第一である。何よりまずそのものをよく見ることが大事。
徹底的な写生によるすばらしい作品の後、シンプルで装飾的な造形へと変わって行くけど、
装飾的なだけではいけない、問題は中身だ、と言う。
見るということを極めた画家ならではの言葉。
写真や資料だけを見てサラサラっとセンスの良い絵を描く人はいくらでもいるけど、
実物のリアルの世界と対峙してどこまでもじかに見つくす写生を極めることでしか
辿り着けないものがあると個人的には思ってます。
センスだけで描かれた線と、写実を極めた人が描く線は違うはず。
単純な造形に描かれたシンプルな鮎の線にも、凝視された一枚一枚の鱗が隠れていて
じっと見ていると、絵の余白が深くなる。ああ、宇宙。








福田平八郎展の最初のほう、初期の犬ころやロバやアヒルの絵の線が楽しくて
すごく愉快な気分になったけど、全部見終わったらもう目も心も満腹で、
そのあとについでに見たモネは味わう余裕がなくさらさらーっと見ました。こっちはずっと人多かったし。

モネも良かったんですけどね、極上の日本食をフルコースで味わったあとに、
また美味しいフランス料理をしっかり食べるだけの心のキャパはないわ。




この写真はモネ風写真を募集中して、その写真で作ったモネ風写真モザイクだそうです。
こういうお遊びは楽しいよね。知ってたらわたしも1枚応募したかも。


そしてこれは福田平八郎だけど遠目に見るとモネ的モヤモヤした緑の色合い。笑


しかし美術展も高くなったなー。
中之島美術館で普段一つの展示で2500円とかでもまあまあ高いと思ってたのに、
今回二つの展示で2500円と1800円、両方見ると割引(たった)100円で、4200円。
同じ美術館を半分に分けて展示してるんだから、千円くらい引いてほしい…

そうそう、よく見ることと写生の大切さは日本画やる時に最初に叩き込まれたけど、
もう写生にはつらい目になってしまいました。
円空もピカソも平八郎も、その他結構いろんな芸術家が円熟すると
シンプルになったり抽象的になったりしてデフォルメされた造形になっていくけど、
円熟だけじゃなく、ホントはみんな老眼になったからなのでは?と密かに思ってはいる…

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