sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

「カレーと村民」

2023-03-07 | 芸術、とか


戦争や国家というおおきな物語の中の繊細で複雑なものを、
小さな村の小さな話として見せるというのは中々難しいものです。
この大阪の端の吹田の家の軒先から世界を、時代を見せるというのはすごく壮大なことで、
それにこの舞台で果敢に取り組んでいるのはよくわかって少し胸が熱くなる。

舞台の美術や照明は本当に素晴らしく、どのシーンをとってもまとまりと調和があって、
質の良い舞台になってたし役者さんたちもそれぞれ良かった。
ただここまで地味な話を見せるなら、もう少し「間」を考えても良かったかなとは思う。
笑いの取り方とか、ちょっと微妙だったかな。少し地味すぎた。

この劇団の「チェーホフも鳥の名前」がめちゃくちゃ良くて好きだったので期待しすぎたかな。

時代は1905年夏。
場所は大阪近郊、吹田村にある庄屋屋敷「浜家」の玄関。
浜家の家族や奉公人を中心に、屋敷に出入りする村人や、各地を回る薬屋などの姿を活写する。
その背景には日露戦争を機に国民国家へ変貌する日本の姿があった―
(公式サイトより)

この作品は1905年の大阪近郊吹田村を舞台にしたお話です。この年、日露戦争に勝った日本はロシアと講和条約を結びました。その内容に憤った人々が日本のあちこちで講和反対の集会を開きます。東京の「日比谷焼き討ち事件」が有名ですね。当時の吹田は今も健在の大手ビール会社の工場があり、できたビールは川をつかって大阪や神戸に運ばれました。ただ工場から船着き場までは牛に牽かせたトロッコで運んでいたそうです。都会ではありませんが、大阪、神戸、京都のいずれにも近く、人と物がたえず行きかう、そんな村ではなかったかと想像しています。
戦争による世の中の変化は、吹田の人々にも影響します。新しい時代に、ついてゆく人、いけない人、迷走する人、つまずく人、後に託す人、取り残される人。様々な人々が押し流されてゆく。そんな様子を描いた作品です。
作・演出ごまのはえさん

地味な上にやや散漫としているように見えるけど、
実は結構まとまって良いお芝居だとは思うので評価されてほしいと思います。
あと、見終わったらカレーよりおいなりさんが食べたくなります。笑

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