sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:ブルックリンでオペラを

2024-04-16 | 映画


すごく良い映画なのにタイトルのせいで見逃す人がいるかもしれないので、
ここは日本の駄邦題問題から話さねばならん!
駄邦題史のトップを争うと思ってる「50歳の恋愛白書」(良い映画なのに、
原題「ピッパ・リーの個人的生活」がなぜこうなる?)の監督と聞いては
見ないわけにいかなかったこの映画。今回の原題は「She came to me」で
映画を見るとピッタリのタイトルなのでこれをいい邦題にいじって欲しかったけど、
なぜウディ・アレン映画の安物みたいな邦題にするかね…

さて映画だけど、前半の主役のようにも見えるアン・ハサウェイが
プロデューサーとキャスティングにも入ってるんだけど、良い結果になってると思う。
アン・ハサウェイの人形のような美しさと隙のないファッションは見て楽しく、
彼女の潔癖症と掃除好きのエピソードなど、彼女のどこかストイックなキャラクターを
ちょっと戯画化してわかりやすく描いている。
そのストイックな彼女がクライアントにキレて?ユダヤのお菓子?の話をするシーンは
彼女の別の面、正直な面を表してて圧巻。
ただこの前半に、アン・ハサウェイのキャラクターは描かれてるけど、
この夫婦の関係や過去をもうちょっと描いてくれないと、
お互いを今どれくらいどう思ってるのか、いまいち測れないまま話が進んで
後半の流れが見てる側には少しギクシャクしてしまった。でもそれもそれでいいのかな?

そして夫役のピーター・ディンクレイジもとてもいい。
いつも自信満々の役が多く、こんなに自信のない男の役は珍しいとどこかに書かれてたけど
自信がないというか、むしろ「自分」がない感じで、流されやすく優柔不断で
自分で何も決められないダメ男、だけど才能はある、という役にこれまたピッタリ。
こういう特別に才能のあるダメ男って、よっぽど魅力的じゃないといけなくて
同じ監督の「マギーズプラン」のイーサン・ホークもそういう役でそういう俳優だったけど
ピーター・ディンクレイジの不機嫌な顔も戸惑ったようなパニック顔も
全部魅力的だったわ〜。まあ、わたしは不器用で偏った天才に特別弱いんだけどね。

そして、前半では脇役のようだったマリサ・トメイ(好き!1990年代の「いとこのビニー」
「オンリーユー」「忘れられない人」とかの時代からずーっと気になって好きな女優さん!)、
予告編見た時には彼女と気がつかなかったくらい労働者風に登場するんだけど、
最後まで見ると彼女以外考えられないくらいピッタリのキャスティングだと思いました。
庶民的でガサツで思い込み激しくアダっぽいけど純で途方もなく優しい、そういう役。

美人精神科医とスランプのオペラ作曲家夫婦と、その息子(前夫との子か)と恋人。恋人の家族、
そして不意に現れる恋愛依存症のマリサ・トメイという登場人物で話は進んでいきます。
若い恋人たちのラブラブ具合ってあてにならないけど、この子たちは聡明な子で
それでもお互いと今の気持ちを信じてやっていこうと考えてるのが好感。
若い世代の話もいいし、恋人家族の側のムカつく奴にはリアリティがある。いるなぁこういう人。

映画としては軽いラブコメみたいな作りではあるけど中々凝ってて、
スクリーンサイズが途中で変わるのですよ。あれ?スクリーン狭くなった?広くなった?って、
後でググると4x3とビスタを組み合わせてあるそうで、なるほどと唸りました。
これも面白い効果になってます。(船の中は狭いので狭い画角になってるとか)

後味も良いし、駄邦題に騙されずに見てほしいなー。
オペラ作曲家の映画なので、音楽も大事、主題歌はブルース・スプリングスティーン。

あとこの監督はなんとアーサー・ミラーの娘でダニエル・デイ・ルイスの妻です。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿