sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:アスファルト

2016-10-11 | 映画


予告編見て、全体の雰囲気がきっと好みの映画だなぁと思った。
結局こういうタイプの映画が一番好きかもしれない、わたし。
ひとつの郊外団地(結構荒れてる。お金持ちはいない感じ)の中の3人の住人の話を、
なんとなくオムニバスっぽく描いてあります。
3つの話はほとんどリンクしないです。
登場人物は重ならないし、別々の小さなスケッチ。
ただ団地の外から聞こえる、うなり声のような不思議な音だけは
それぞれ、なんだろうといいながら耳にする、そこだけかな繋がるのは。

ポスターにもなってる大女優、イザベル・ユペールが、いいです。
無愛想でツンツンしててプライドはあるけど、なんかかわいさもある役。
向かいの家の息子くらいの年の子と、知り合いになり、
友達?になる。友達?だよねきっと。と、ふと考えてしまうくらいの
微妙な淡い頼りない距離のコミュニケーション。そういうとこ好みだなぁ。
この男の子はジャン・ルイ・トランティニャンの孫だそうです。ほー。

一番好きなのは、アルジェリア系の女性とアメリカの宇宙飛行士の話。
宇宙飛行士という世界の先端が、この置き忘れられたような崩れた団地の
さらに自分の時間で生きているような年配女性の部屋に滞在する面白さ。
ハリウッド臭がゼロの地味なフランス映画に、でかいハリウッド俳優が
浮きまくりながら出てる、その違和感の面白さでもあります。
事情があって今は家に息子がいない一人暮らしのこの女性は、
寂しくて優しくて疑うことを知らない親切な田舎のお母さんっぽいおばさん。
突然の来客をとても喜んで、今夜はクスクスを作るわよと張り切る。
世界一のクスクスよ、って。クスクスって、本当にいい音の言葉だな。
ここでも、言葉の全く通じない生きている世界も何もかも違う二人の間に
優しくて、淡い淡いコミュニケーションが生まれます。
別れた後はもう二度と会わずに、忘れてしまうかもしれない淡さ。
それがなんだか、切なくてふわりと温かくて、
急いでると見逃すようなそういうものに、わたしはすごく弱い。好きだなぁ。

もう一つの話の主人公が生理的に嫌な中年男性で、
そこだけ、ちょっときつかったかなぁ。こんな好みの映画なのに。
一人暮らしで、団地のエレベーター取り替えのときに
自分は2階に住んでてエレベータ使わないからお金は出さないと言いはる人。
まあそれはそれでいいんだけど、直後に事故で車椅子生活になっちゃって、
夜中にこっそりエレベータを使う日々。そこまでは笑えるんだけど、
心惹かれた看護師さんに、自分は写真家だと嘘をつくとこから、なんだかなぁ。
自分は写真家で有名な雑誌に撮ってて、世界中を見てきたとか言うのよね。
映画は寂しい男として暖かい視線で描いてるんだけど、なかなかむずかしい。
ボサボサと薄い髪、でっぷりと太った体、感情を表さない顔。
独りよがりで自分勝手で見え張りで嘘つきのキモいおっさんを、
愛すべき弱い人間の一人として優しく受け入れるのが、難しかったなぁ。
心が狭い、というか、容姿差別主義者だな、わたし。
いつも容姿で判断してはいけないとあんなに言ってるくせにな。笑

それはさておき、とにかく全体に淡くおかしく優しい映画でした。
♪ソシレ・ソシレ・ソシレ・ソシレと続くシンプルな音楽も優しい。
「出会いと奇跡のストーリー」なんて駄コピーはついてるけど
タイトルが原題のままなのは褒めよう。
これ「愛の降りてくる街」系のタイトルつけられそうだからなぁ。笑

ところで、
映画の中でテレビを見ているシーンがあって「マディソン郡の橋」だったんだけど
それ吹き替えになっててフランス語喋ってるんです。
(これを見て、登場人物は写真家を名乗る嘘をつくみたい。面白い。)
で、クリント・イーストウッドもメリル・ストリープも、
なんか若い甲高い声のフランス語しゃべってて、すごく変だった。
吹き替えってやっぱり変よね。
たとえば今テレビで放映してるらしいイギリスBBSのドラマ「戦争と平和」ですが
(うちテレビないから見られないけど見たいなぁ〜)、
ナポレオンの頃のロシアは社交界ではフランス語喋ってたみたいだけど、
ドラマに出ているのはイギリス俳優で全員英語、家族の会話も英語、皇帝も英語、
・・・なの?それって変じゃないの?気になる。

そして、こんなの売ってたので飲んでみました。
甘くないアイスミルクティーにクリームとチョコシロップ少しの飲み物。

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