この映画の直前に見た「ウーマントーキング」は主観的に撮らず叙事的な映画にしたと
監督が言ってた通り静かな引きの画面が多かったけど、
こちらは対照的にカメラが近いというか狭いというかアップが多くて揺れもある撮り方の映画だった。
とはいえアップのシーンも含めて全体にドキュメンタリー的な感じに自然に撮られていたし、
登場人物との間に距離感があって、特にドラマチックで主観的なカメラとは思わなかった。
画面が狭くてアップが多くてやたら揺れる映画といえば「エゴイスト」がそれで、
画面が狭苦しく、途中で酔ってしんどかったけど、この「Close」はそういう心配はなく、
主役の子供のアップはひたすらその美しい目に引き込まれていくらでも見ていられた。
公式サイトよりあらすじ:
花き農家の息子のレオと幼馴染のレミ。昼は花畑や田園を走り回り、夜は寄り添って寝そべる。24時間365日ともに時間を過ごしてきた2人は親友以上で兄弟のような関係だった。
13歳になる2人は同じ中学校に入学する。入学初日、ぴったりとくっついて座る2人をみたクラスメイトは「付き合ってるの?」と質問を投げかける。「親友だから当然だ」とむきになるレオ。その後もいじられるレオは、徐々にレミから距離を置くようになる。
ある朝、レミを避けるように一人で登校するレオ。毎日一緒に登下校をしていたにも関わらず、自分を置いて先に登校したことに傷つくレミ。二人はその場で大喧嘩に。その後、レミを気にかけるレオだったが、仲直りすることができず時間だけが過ぎていったある日、課外授業にレミの姿はなかった。心ここにあらずのレオは、授業の終わりに衝撃的な事実を告げられる。それは、レミとの突然の別れだった。
移ろいゆく季節のなか、自責の念にかられるレオは、誰にも打ち明けられない想いを抱えていた…。
最初の方は二人の少年のすごく仲良く戯れ合い遊ぶ姿が、これくらいの年齢特有の、
独特な無邪気さ、かわいさ、親密な幸せが溢れてて、その幸せの美しさにうっとりする。
close (距離や関係が近い)というタイトルだけど、intimate(親密な)という感じかな。
クラスメートに冷やかされるほどの仲の良さだからね。
レミがレオの顔を描くところとか、ちょっと怪しい感じがするほど親密だし、
二人だけのルールで想像遊びをするところは、二人だけの世界の充足が濃密でちょっとどきどきする。
二人の気落ちの中に性的なものがあるかないかははっきりとはわからないように描かれているけど
まあそれははっきりさせなくてもいいんだよね。
とにかく二人の近さが、その後の悲しさを際立たせます。
あまり説明しないし、登場人物の気持ちなども言葉にしないかわりに、
画面の美しさが言葉でないものを多くを語るタイプの映画です。
喪失とその後を描いた映画。素晴らしく哀しく美しい。お花畑のシーンのきれいさはずるい。
エンドロールのキャストの最後にdogというのがあって
(忘れちゃったけどジェームズとかそういう名前だったような(^_^;)、
あら、あの犬さんちゃんとキャストに入ってるのねとちょっと微笑ましかったな。
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