これね、思い出したの。
「ピアノマニア」という去年見た映画。(→ブログ)
ピアノの調律師さんのドキュメンタリーで
その調律師さんと、シュタイデルさんが
すごく似てるんですよねぇ、印象が。
どちらも、とことん職人気質で
妥協のない美しいものを作る人だからかな。
ピアノマニアでは、要求の多いピアニストとのやりとりが中心で
それを聴く観客のことはピアニスト経由だけで感じる。
シュタイデルでは、本作りを依頼する写真家たちとのやりとりが中心で
やはりそれを購買する読者のことは、写真家経由でしか
考えてない感じがしました。
そういうところ、芸術家だなぁ、と思う。
自分が納得できる仕事をすることが
大勢の消費者を満足させることより大事なんだな。
まあ結果的に、観客や読者を喜ばせることになるんだけど
消費者不在で、いいものを追求して行ける人は
まれだと思うけど、
この二人はそれが出来る人です。
ふわふわ優しい人ではなく、飄々ともしていない。厳しそうな人です。
ダメなものはダメと言うし、納得のいかないことには不機嫌になる。
こういう人とわたしは、友だちにはなれないけど
尊敬はするし、憧れもあるなぁ。
自分は、自分自身にも他人にもきびしくなれないから。
美しい本を作る会社なので
写真家からの注文が多いようで
錚々たる写真家が次々に出てきます。
マーティン・パー。ロバート・フランク、
ジョエル・スタンフェルド、ロバート・アダムス・・・
他にも芸術家や有名作家たち。
でも羨ましいなと思ったのは、有名人に愛されていることより
本を自社内で、企画デザインから印刷までほぼ全工程を作るというところ。
かなり珍しい業態のようで、でもそこがすごくいいなぁと
そういう会社で仕事をする人が羨ましくなりました。
今は、ニューヨークで企画、中国でレイアウト、インドで印刷、というような
コスト削減のやり方が多いそうだけど、
自社内ですべてすると、コストは嵩むけど、自由度は高くなるよね。
本当に納得のいくことしかしないんだなぁ、
厳しそうだけど、いい会社だろうなぁ、と思いました。
これから写真集見るときは、出版社もよく見ることにしよう。