goo blog サービス終了のお知らせ 

sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:クロニクル

2013-11-01 | 映画


映画、好きな映画の感想がたまってるんだけど
書きやすいのから書いていこう。

これは、レディースデイに映画のハシゴ中のわたしに
友だちからLINEが来て、今クロニクル見たんだけど
夕方の映画こっちにしたら!すっごくいいからー!と。

その日の夕方の映画は、何ヶ月も見たくて待ってた映画で
それは替えられないけど、絶対見るよと約束。
ところが「クロニクル」なんと翌日が最終日で
無理矢理早起きして時間を作って見ました。

主役の男の子がすごくいいのよ!というので期待していったら
主役の子は確かにキュート。
若い頃のディカプリオのような、繊細な細面で
虐められっこの役だけど、明るい役も似合うだろうなぁと思った。

映画自体は、わたしにはなんとも後味の悪い映画なんだけど、
映画を見たあと、もやもやして、あれこれ考えさせられたので
いい映画なんだろうなと思います。

昔の映画「キャリー」の男の子版のような映画です。
「キャリー」はテレビで何度もやってたので何度も見たけど
オカルト系の映画は苦手なので、細部はよく覚えていません。
ただ、大人になってみた時に
こんな悲しい話だっけ、と思ったのは覚えている。
「キャリー」のリメイク版ももうすぐ公開なので
今回この映画を見て、それもまあ、見てみようと思わされました。


主人公は、家でも働かない父親に虐待され
学校でもスクールカーストの底辺で虐められるアンドリュー。
ある日手に入れたビデオで日常のすべてを記録し始めるんだけど
いとこのマットと、ラグビー部のスター、スティーブと一緒に
大きな穴の中に入ることで超能力を手に入れる。
マットもスティーブも明るいアメリカンボーイで
人気もあるし、性格もよさそうなんだけど、
力を得た3人の中で、アンドリューの行為はどんどんエスカレートし、
ついには人を傷つけるようになって・・・


前半は、アンドリューの境遇に同情したりしたけど
後半は、もうこの子がいやでいやで、楽しめなくなった。
泣きながら悲しみながら制御できない怒りで仕返しをする、という構図なら
まだ共感できる隙もあるんだけど
アンドリューは最初から他人の傷や命に対して鈍すぎるのです。
なんで人を傷つけるのがいけないのかが、そもそもわかってないみたい。
だから仕返しをした相手の折れた歯を、うれしそうに数えたりするし
スティーブの死にも、さびしいよ、と言うだけで
全然責任は感じていない。
元々これだけ他人に対する想像力や尊重が欠落してたなら
そりゃ、人生うまくいかないだろうよ、としか思わないです。
ただ、力を誇示したくてしかたない思い上がったバカでしかないのです。

こういうのに虫酸が走るのです、わたし。
威張った男というのが、ものすごく嫌いで仕方ない。
アンドリューの力は物理的な暴力だけど
現実世間でも権力やお金で、同じ態度をする人は結構いますよね。
権力を得ることで、まちがった全能感を持ち
平気で人を支配し生殺与奪までも
自分の思いのままにしていいかのように思う人間。
アンドリューもそういう気持ち悪い人間にしか見えなくなってしまった。

わたしは元々、たとえば学校などで明るくて人気のある子よりも、
一人で離れているような静かな人の方に共感しがちで
自分自身完全にそちらサイドの人間だと思うので
最初はアンドリューに同情し共感してたんだけど
後半は無理でした。
彼の孤独がどんなに深かったとしても、共感は難しいのに
映画で見る限り、彼の孤独なんてすごく薄っぺらなのです。
そんな薄っぺらな孤独からの幼稚な怒りで
平気で無関係の人まで殺しまくるのが、後味悪すぎて。
虐待父親はひどいけど、彼は今では父より強いんだし
女の子との初体験の失敗とか、アホみたいな理由で
(本人は傷ついたんだろうけど)世界をぶっこわすようなことするか?と
アンドリューの幼稚さに辟易するばかりでした。

逆に、前半ごく普通の、ただの健康な男の子に見えたマットが
人を傷つけることを、命がけで避けようとする様に
少しほっとしたけど。

見終わったときは、この後味の悪さが何かわからなかったんだけど、
途中、3人にどんどん能力が身に付いて楽しんでいるシーンでさえ、
その後のもっとエスカレートする様子を想像してはびくびくして見ていて
ひゃっはー!と男の子たちが楽しんでいるシーンを
一緒に楽しめなかったのも原因のひとつかも。
小心者ですね。
でもこれを見て、「キャリー」も見ようと思えたので
見てよかったです。