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sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:渡り鳥いつ帰る

2012-12-10 | 映画
これも古い映画。
永井荷風の短編をいくつかまとめて作った映画だそうです。

戦後の昭和二十七年頃、
戦争中に妻子と生き別れ、ずるずると流されるように
なじみの女・おしげ(田中絹代)のもとで、
色街・鳩の街にある売春宿?「藤村」の主人になった伝吉(森繁久彌)。
森繁久彌が、また、だらしなくダメな男を、すごくはまって演じています。
その後妻と再会するも、妻は真面目な男と所帯を持っていて
自分との間にできた娘を育てていた。
自分はおしげのヒモでしかなく、今さら何もできないくせに
娘がかわいくて妻とよりを戻したがったり、
中々その気持ちを思い切れずに荒れたりする。
わがままで自分勝手なダメ男、こういうの森繁うまいなぁ。

戦後の復興期ですが
色街の女達は本当に救いがなく
ぎりぎりのところで、なんとか体を売りながら生きていて
見たあともなんだか重い気分になる映画です。
最初は、わりと明るいトーンではじまるのですが
それぞれの事情がはっきりするにつれ
行き詰まりの女達の哀しさが身にしみてきて
後半は重くなっていきます。
おしげの、人を信じない下衆なしぶとさ、
高峰秀子演じる詐欺師?の好きなように生きる
ふてぶてしい強さだけが、わずかな救いです。
でもそんな暗い映画だけど
たくさんの登場人物の人生を過不足なく切り取って見せ
見応えのあるいい映画でした。