教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

教員養成における問題解決的態度・能力の育成

2008年12月03日 21時44分09秒 | 教育研究メモ
 日本では、今も昔も、教員の資質能力に教育諸問題の原因を求めがちです。2009年度から開始される教員免許更新制もまた、教員の不祥事や児童生徒の学力低下問題などにより、その資質能力が問題視される社会状況のなかで成立しました。同更新制は、大学などにおける講習によって現職教員等の資質能力を高めようという制度です。しかし、教員の資質能力は、他律的な講習によってのみ向上するものではありません。教員は、毎日のしごとのなかで問題を発見し、解決策を検討し、実行していくうちに、必要な知識・技術を身につけます。教員の資質能力は、問題解決過程のなかでも向上していきます。
 私は、教員養成において最も重要なのは、問題解決的態度・能力の育成だと考えています。教員は、直面した問題に自主的に取り組み、精確な分析結果に基づいて解決策を導こうとして、同僚上司や教育学者とともに科学的分析や解決策の立案を行うなかで、その資質能力を高めていくと考えます。教員が問題解決的態度・能力を身につけていなければ、講習によって最新の知識・技術を提供しても、資質向上の実効性は薄いでしょう。なお、このような態度・能力は、生涯学習社会に生きる社会人にとっても重要です。
 常識を歴史から問い直すことができる歴史的研究は、問題解決過程において有効な方法の一つです。私は、自分の専門とする日本教育史研究の知識・方法を駆使し、以上のような教員養成・社会人育成に寄与したいと考えています。
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