教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

教育会研究の基本文献(独断偏見)

2006年07月18日 20時37分59秒 | 教育研究メモ
 今日は久しぶりに登校。ていうか、たった4日間登校していないだけで、「久しぶり」という言葉が出るのに驚き(笑)。車がないのでバスを利用しようと思ったら、すでに数時間後までバスがないことを知り、愕然としながら徒歩で登校。便数少なすぎ(仕方ないか)。登校後、25日〆切の原稿と月末〆切の教育史学会大会発表要項について執筆・修正などをやりました。
  
 先日まで教育会に関する研究会に行って来ましたが、そこで少し思ったことは、教育会の歴史に関する共通知識が必要なのではないかということ。共同研究において共通知識が不在なのは、あまりいいことではないと思うので、教育会研究の基本文献をはっきりさせておく必要があるのではないかと考えました。…なんて、偉そうなことを言えるほど勉強できていないですけど…
 教育会に関する先行研究は、梶山雅史・竹田進吾「教育会研究文献目録1」(東北大学大学院教育学研究科編『研究年報』第53集第2号、2005年)を見ればわかりますが、これはちょっと点数が多すぎて何を読めばいいのかわからない。ですので、私の独断で教育会研究の超基本文献を、以下に挙げてみました。

1.石戸谷哲夫『日本教員史研究』野間教育研究所、1958年。
2.佐藤秀夫「高等教育会および地方教育会」海後宗臣編『井上毅の教育政策』東京大学出版会、1968年。
3.本間康平「地方教育会と教職」『教職の専門的職業化』有斐閣、1982年。
4.梶山雅史「京都府教育会の教員養成事業」本山幸彦編著『京都府会と教育政策』日本図書センター、1990年。
5.渡部宗助『府県教育会に関する歴史的研究-資料と解説』平成2年度文部省科学研究費(一般研究C)研究成果報告書、1991年。
6.梶山雅史・竹田進吾「教育会研究文献目録1」東北大学大学院教育学研究科編『研究年報』第53集第2号、2005年。
 ※ あと『長野県教育史』(1978~1983年)と『岐阜県教育史』(1998年~)の教育会に関する部分を読んでおけばもっとよいかな。『山口県教育史』(1986年)や『島根県近代教育史』(1978~1979年)も、教育会を否定的に評価して無視せずに、ちゃんと叙述されていてなかなか良いと思います。

 1は教育会に関する歴史的背景をきちんと押さえておくために重要。2は教育会の前史と中央教育行政との関係から教育会を性格づけた基本文献。3は地方教育会の職能団体的性格がわかりやすく整理された研究で読みやすい。4は教育情報回路としての地方教育会像を提唱する梶山氏の教育会研究の出発点。本山幸彦氏の「まえがき」も読んでおきたい。5は地方教育諮問機関(御用団体)・職能団体としての府県教育会像を問い直した研究で、基本資料も豊富。6は今までの教育会研究が総括され、かつ今後の展望が示されているため重要。
 以上6点が教育会研究のポイントを比較的押さえており、教育会研究の基本文献だと思います。思いっきり絞りました。当然この他の論文も大事です。なお、これらに加えて研究対象である教育会の活動地域に関する地方教育史を読む、というのがセオリーかな。あと、何度も申し上げますが、この基本文献は私の独断と偏見によって構成されています。

 「これも重要だよ」という情報、大歓迎です。m(_ _)m
コメント (2)
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