咲きのぼる 2005-09-15 18:23:19 | 歳時記 咲きのぼる 葛秋風と あそびをり (弦四朗) 夏の間、蔓を延ばし、葉を広げ、秋を迎えるころ葉陰に花咲き、そよぐ風に顔を出す。 「葛買ふや 吉野の春の 雪に遇ひ」 (弦四朗) この句は、第6回俳人協会全国大会にて朝日新聞社賞を受賞した。 吉野葛は有名だが、最近の葛はサツマイモの澱粉を使用したものが多く、 本当に葛の根から作ったものだけが「吉野本葛」の名称で珍重される。
蝉の死は 2005-08-08 16:47:38 | 歳時記 蝉の死は みな仰向けに 地の乾き (弦四朗) 地上での短い営みを終え、仰向けになって時を待つ。 人も同じならん。 近くの林では、ミンミンゼミ、アブラゼミ、ツクツクボウシなどが懸命に鳴いている。 朝夕はヒグラシが活動する。 少し緑がかった透明な羽根が木肌に溶けて、その姿は見つけにくい。
梅雨さなか 2005-06-29 17:02:25 | 歳時記 梅雨最中 どくだみも咲けば にくからぬ (弦四朗) つゆさなか、とは言えない日が続いたが今朝は雨で、植物にはありがたい。 義父は、四人の子供の中で一人だけ遠くに住む末娘に、 頻繁に葉書を送ってくれた。 さらさらと絵を描いて句や近況を添えたものが多かった。 この葉書は18年前の六月のものだ。
走り梅雨 2005-06-05 17:14:57 | 歳時記 走り梅雨 紅濃き薔薇を 傾けて (弦四朗) 義父の句。 義父は「馬酔木」の同人で、休みには句会や吟行を楽しむ温厚な人だった。 四人の子供も、その連れ合いたちも句作を始めなかったが、 強要することなく卒寿のあとお別れした。