チャリンコ漫遊

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獄窓の歌人「死刑囚 島秋人」

2016年04月11日 | 詩・歌・唄
獄窓の歌人の生と死
「死刑囚 島 秋人」
海原 卓 著、日本経済評論社

NHKラジオ深夜便の「こころの時代」で取りあげられ、「サンデー毎日」で紹介され「毎日歌壇賞」「まひる野年間賞」受賞。
刑死直後(1967.12.10.)歌集「遺愛集」が刊行される。

死刑囚中村覚(島秋人)
1934.06.28.生まれ
1959.04.05.強盗殺人で逮捕
1960.03.01.戦後初の死刑判決
1967.11.02.10:00・小菅刑務所で刑の執行、33歳。

満州から引き揚げ貧窮と病弱、15才の時に栄養失調で母が死す。
その後非行を重ね少年院や刑務所へ。
24才の時に強盗殺人で戦後初の死刑判決。
たった一度だけ褒めて貰った恩師を思い出し獄中から手紙を書く。
恩師からの返事に奥さんの短歌も一緒に同封されていた。
此れが島秋人と短歌の最初の出合いとなった。



なにか淋しい散るさくら


獄窓の歌人「島秋人」(チャリンコ漫遊 選)

★わが罪に貧しき父は老いたまひ
久しき文の切手さかさなる

★握手さへはばむ金網(アミ)目に師が妻の
手のひら添へばわれも押し添ふ

★うす赤き夕日が壁へはふ
死刑に耐えて一日生きたり

★助からぬ生命(イノチ)と思へば一日の
ちひさなよろこび大切にせむ

★たまわり処刑日までのいのちなり
心素直に生きねばならぬ

★にくまるる死刑囚われが夜の冴えに
ほめられし思い出を指折り数ふ

★拭きこみし木肌まぶしき春の日に
生きるうれしさまぶたよりわく

★絞められて声をあげ得ぬわがあがき
夢を覚ましてまた眠りたり

★移送の日に汽車のガラスを拭きくれし
老いし看守に暑中見舞ひ書く

★温(ヌク)もりの残れるセーターたたむ夜
ひと日のいのち双掌(モロテ)に愛しむ

★死刑囚のわれある故に看護婦の姉の結婚流れしを知る

★背を見せ帰りゆく老父(チチ)ドアに来てつまづくときをへだつ金網(アミ)あり

★図書館に時をり行きて老いし父
死刑囚われの短歌(ウタ)見るといふ





島秋人の場合、今の時代なら死刑でなく無期懲役だったかも…
の意見も有ると云う。
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