谷川俊太郎の詩・夕景
たたなづく雲の柔肌の下
味気ないビルの素顔が
夕暮れの淡い日差しに化粧され
見慣れたここが
知らないどこかになる
美しく物悲しいそこ
そこがここ
いま心が何を感じているのか
心にも分からない
やがて街はセピアに色あせ
正邪美醜愛憎虚実を
闇がおおらかにかきまぜる
たたなづく雲の柔肌の下
味気ないビルの素顔が
夕暮れの淡い日差しに化粧され
見慣れたここが
知らないどこかになる
美しく物悲しいそこ
そこがここ
いま心が何を感じているのか
心にも分からない
やがて街はセピアに色あせ
正邪美醜愛憎虚実を
闇がおおらかにかきまぜる