ふぉるもさキッチン(台湾厨房)

台湾あれやこれや、色々なトピックスをご紹介したいと思います。(すでに閉店してしまった施設、店舗もあります。悪しからず。)

景美人権文化園区 その2

2014-01-06 22:10:46 | お勧めスポット
 景美人権文化園区のつづきです。



 再び仁愛楼の中の、奥の方にある建物も見学してみました。向かって左奥には食堂があります。ここは刑務作業に従事する受刑者が利用していました。テレビもあったみたいです。



 刑務作業は体力がいるので、比較的ましなものが食べられたそうです。しかし、おかずはごく質素なもので、たいていは野菜の炒め物や魚の唐揚げ、豚バラ肉の煮込みでした。おかずはこうやって金だらいにたいな容器に入れられていたのですね!



 おかずはリヤカーに載せられて、食堂まで運ばれてきました。



 食堂の隣のフロアには図書室があります。規模は小さいながらも二千冊を超える蔵書があり、四書五経、六法全書、世界の文学書などが置いてありました。



 資治通鑑も全巻揃っていました。



 同じ棟に洗濯工場がありました。長い大きな机があって、ここでアイロンがけの作業をしたのです。



 布地によってアイロン作業が違ったので、それぞれを担当する班に分かれ6人一組で作業をしたそうです。こちらのテーブルではウールのスーツにアイロンをかける作業が行われていました。蒸気管が設置されており、ボイラーからつなげられた蒸気がこの管を伝ってきたとのことです。


    
 アイロンがけの衣類はこの大きな箱に入れて運ばれてきたのでしょう。



 アイロンがけの仕事は課なりの重労働だったようです。特に夏は工場内の気温も相当暑くなり、大きな試練にもなったとのことです。



 洗濯物は衣類だけではなく、ベッドカバーやシーツなどもあったそうです。



 ここは洗濯場だった所のようです。洗濯は膨大な量だったそうで、重労働だったことでしょう。



 建物の裏側にボイラー室があります。私が訪れたときにはボイラー室は解放されていませんでした。ボイラー室にも担当が割り当てられていたそうです。ボイラーは一定の温度に達すると蒸気が出ますので、朝早くからボイラーが爆発しないよう温度と圧力を管理しなければならなかったとのことです。



 仁愛楼を離れ、今度は入り口からすぐの所にある法廷を見学しました。入り口の正面にある壁にはよく目立つ字で「公正 広明」と書いてありますが、果たしてそうだったのでしょうか。



 これは戒厳令時代に政治犯が裁かれた軍事法廷の建物です。残念ながらこの日は解放されていませんでした。当時の裁判ではスパイ罪と反乱罪の適用が多かったそうで、常に重い刑が科せられたとのことです。たいていは取調中に拷問によって強いられた自白が証拠とされました。



 こちらの建物は看守所最大の法廷「第一法廷」です。1977年に建てられました。



 第一法廷の内部です。裁判官の席と証言席が柵で隔てられています。



 弁護士の座席はこちら。簡素な造りですが、物々しさが感じられます。



 ここで審理された最も有名な案件は1980年に裁判がなされた「美麗島事件」です。(「美麗島事件」につきましてはこちらの説明をご覧ください)
 法廷の後ろの壁には美麗島事件の裁判の様子を写した写真が貼ってありました。若き日の陳菊氏、呂秀蓮氏、施明徳氏が写っています。



 この施設でボランティアとして警備をされていたおじさんの話によりますと、「国民党はここの看守所をこっそり売却してなきものにしようとしたいたのだが、民進党に見つかって、保存せざるを得なくなった」のだそうです。この話の真偽のほどはわかりませんが、第一法廷の建物のすぐ外にある庭には、国民党の馬英九氏、民進党の呂秀蓮氏のそれぞれが植樹した木が仲良く並んでいました。



 こちらは1985年に建てられた「王希苓軟禁区」です。1984年アメリカで華人作家が視察されましたが、国民党政府は台湾国防部の情報局職員が主導したものと認め、当時の情報局局長王希苓氏らが逮捕されました。そして王氏らはこの建物の中に軟禁され、生活したということです。
 残念ながら訪れた日には解放されていませんでした。
 

    
 政治犯として捕らえられ、多くの人が投獄されたこの地はいわゆる「ブラックツーリズム」と言われる場所です。しかし、“ここは民主化への苦難の道のりと変遷の記録そのものであり、歴史を辿る中で自由を獲得する難しさと大切さを理解していただきたい”というのがこの文化園区の主旨だそうです。
 かつて白色テロの犠牲となった人々が苦しい思いをしたこの場所も、今では静かに多くの人の来訪を待っているかのようでした。


景美人権文化園区:新北市新店區復興路131號 サイトはこちら

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