車引き取り

夕方過ぎには出来上がると言っていたので、電話をぼちぼちして
みようかなと思っていたら電話がかかってきた。
電話の相手は、めずらしく近所にいる長女からだった。
「お父さん、車の修理は５時過ぎに出来るから、そのころ取りに来
てくれって大石板金さんから電話があったよ」
娘が以前勤めていた会社で、大石板金さんの奥さんが同僚だったので
車の修理はそこに頼むようにしていた。
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車で連れていってもらおうかなと思ったが、歩いて行くには丁度いい
距離。急ぎ足で２５分なので、事務所を５時１０分前に出た。
工場に着くとわたしの車が一番手前に置いていたので、傷ついた箇所
を見るときれいにしあがっていた。
事務所は一番奥にあったのでそこに行くと、ご主人と奥さんが錦織選
手のテニス試合の観戦中だった。その奥では、小学生の孫が長椅子に
寝ころんでゲームの真っ最中。
・
「請求書出来ていたら持って帰りますけど」
「ちょっと待ってね、今すぐ作るから」
応接室に入って待っていると、大きめの孫ふたりが入ってきた。
おじいちゃん、おばあちゃんからたっぷりと愛情を受けた孫が３人も
いたのか。なんとアットホームな家族なんだろう。
・
農協の看板が掛かっていたので、そこの仕事が多いのかと思ったが
実際は一般のお客さんが大半だという。安くていい仕事をするので
口コミでお客さんが徐々に増えていったようだ。
まじめにコツコツと仕事をしてきたから今がある。３人の孫の誰かが
、跡を継いでくれるのかな。


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