リリーとランラン

馬房からリリーを出すときは特に問題はない。
今から始まる乗馬をするために気持ちを入れたり、準備のため
に闘志を燃やしているようにある。回りの馬達の馬房の前を通
るときも別段気にする様子はまったくない。
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ところがこの春頃から、乗馬が終わってリリーの馬房に帰ると
き、他の馬達の馬房を通る前にさしかかると傍若無人な態度に
急変するようになった。どのように急変するかというと、「ヒ
ヒ～ン」と鳴いて他馬達に挑発するのだ。
・
他の馬達は「又リリーの挑発が始まった」と言って無視をする
ときはいい。だが昨日は若い牡馬のランランが、馬房から顔を
出したのだ。ランランは、無敗で３冠馬を達成したあの有名な
ディープインパクトの孫になるので体は大きいし、気は強い。
・
「ヒヒ～ン」と鳴いたあと、ランランに向かおうとした。
私は手綱を引っ張って「ダメ、リリーダメよ」と力を込めるが
一度火がついたリリーを止めることはできない。
・
馬房から顔を出したランランの顔を噛みつきはしないかハラハ
ラしたが、お互い顔を近づけてにらみ合いをしている。噛みつ
きあいを始めたらどうなることかと、心配をしたがそまでには
ならない。勢いがついた反動を利用して、リリーとランランを
引き離すことに成功した。あの状態を続けていれば、お山の大
将リリーが少しは謙虚になったかもしれないな・・・





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