ランニングマシン

「心電図の波形が変わりましたね。以前はここの部分が下がっていた
のに、下がらなくなっています。」
正常の波形に戻ったのです。先生はなぜだろうと疑問に思いました。
「よその病院に行ったことはありませんか」「いいえ」。
「何か薬を飲んでいませんか」「いいえ」。
「食事で油ものは控えるようにして、野菜中心の食事をしています」
１年８ヶ月で、正常値に戻った謎が解けて先生は納得しました。
しかし何もしない状態でよくても、運動をすれば波形が変わる可能性が
あるのです。精密な心電図でもう一度検査をして、いよいよランニング
マシンを使った状態で検査をすることに。
最初は普通に歩く程度のスピードですが、２段目は少し早足になってき
ました。３段ギアになると間に合わないので、小走りで進むと。
「まだ走る必要はない」と叱責。急ぎ足で歩いていると。
「遅れている。もう少し早く！」。息が上がってきました。
いよいよ４段ギアに切り替わり、必死になって走り続けました。
「ここまでやる必要はないか」と先生の意地悪な質問が。息が上がって
それに答えられずにいると、いつまでも走らされました。
ふたたび「ここまでやる必要はないか」に。「こ・殺すきか！」といい
たいところでしたが、息も絶え絶え「もう・・ダメ・・」。
ようやくマシーンを止めてくれました。先生は、患者をマシーンに乗せ
ることを喜びとしているふしがあるのか？　でももう乗りたくない。
「心臓も肺も異常なし、血液検査も問題はありません」。
今日の検査は何だったのだろう。単に寝違いだったのだろうか。
安心料と思えば、まっいいか。

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