水と一升瓶

先日、ある大学の応援団のテレビ放送をやっていました。
学らんに、いかつい顔をした男が、ゆっくりとした足取りで舞台横から
現れました。
舞台中央で仁王立ちになって、しばらくして２～３歩横に移動して、あ
る物を片手でつかみ、ふたたび舞台中央に戻りました。片手につかまれ
ているものは一升瓶でした。男は一升びんに入ってある水を口一杯に含
みました。景気づけに顔を上に向けて、水を吹きだすのかなと思ったら
、ゆっくりとおいしそうに呑み込んでしまいました。
水を飲み込んだ後の顔は、実にさわやかで自信に満ちあふれた顔をして
います。そして、２～３歩横に移動しました。元に置いてあった一升瓶
を戻すためです。男らしく一升瓶をガツンと戻すのかなと思ったら、
男はゆっくりと音も立てずに、丁寧に戻しました。そして、ふたたび
舞台に戻り、歌い始めました。
一人の応援団の男が歌い終わると、次の男が出てきて、また同じことを
繰り返して、応援歌を歌いました。
私は、応援団の水の飲み方と一升瓶の置き方に思わず感動をしました。
ものあまりの世の中で、水と一升瓶で人を引きつける素晴らしい動きを
した応援団。彼らは応援の型とか発声方法と同時に、ものを大切にする
心を１年生の時からたたき込まれたのだろうなと思いました。
彼たちのものを大切にする心は、社会に出て、どんな苦難にあっても
きっと乗り越えていくことでしょう。

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