生命の普遍性と多様性の源としてのゲノム論 第8回
3) 生命と進化
生命誌では発生分化(development)を「個体発生」、進化(evolution)を「系統発生」と区別する。生命誌では進化という言葉を使わないで「生命の歴史」と捉える。38億年の生命の歴史をゲノムの変化としてみると、遺伝子は本質的に保守的である。それは命に関るような変異は直ちに死に結びつくため、そのような変異は保存されない。生き残っている生物の中にある変異は殆どが「中立」(命にはかかわらない程度)であるのが当然である。生命の歴史は丸山茂徳・磯崎行雄 著 「生命と地球の歴史」にもまとめられているように、中村氏は原核細胞、真核細胞、多細胞、中枢神経系の成立の4段階が重要であると指摘している。生命の起源の詳しいことは分らないが、化学進化としてみる見解が趨勢であろう。生命体の誕生後にDNAが先かRNAが先でホットな議論がある。その他、光合成能、陸上への進出、カンブリア紀の種の大爆発、大絶滅など興味ある話題が一杯である。だから生物学は面白い。細胞生物学としては、内膜系、細胞骨格、物質代謝でエンドサイトーシス、エキソサイトーシス、性の分化と減数分裂、細胞死などの話題も豊富であるが、詳細は省略したい。遺伝子量は大体ヒトの30億塩基数が限界の量であるが、植物には36倍体などのハプロイドでは数兆塩基数もある。約5億年前に遺伝子の臨界点に達したカンブリア紀の種の大爆発が起って、恐らく現在の生物から想像もつかないようなへんてこな生物が生まれたらしい。それらは全て絶滅して今日の数千万種くらいに落ち着いている。ゲノムのダイナミズムとは、ファミリーの重複構造、組み合わせ選択方式などで多様性が生み出されてきたらしい。
(つづく)
3) 生命と進化
生命誌では発生分化(development)を「個体発生」、進化(evolution)を「系統発生」と区別する。生命誌では進化という言葉を使わないで「生命の歴史」と捉える。38億年の生命の歴史をゲノムの変化としてみると、遺伝子は本質的に保守的である。それは命に関るような変異は直ちに死に結びつくため、そのような変異は保存されない。生き残っている生物の中にある変異は殆どが「中立」(命にはかかわらない程度)であるのが当然である。生命の歴史は丸山茂徳・磯崎行雄 著 「生命と地球の歴史」にもまとめられているように、中村氏は原核細胞、真核細胞、多細胞、中枢神経系の成立の4段階が重要であると指摘している。生命の起源の詳しいことは分らないが、化学進化としてみる見解が趨勢であろう。生命体の誕生後にDNAが先かRNAが先でホットな議論がある。その他、光合成能、陸上への進出、カンブリア紀の種の大爆発、大絶滅など興味ある話題が一杯である。だから生物学は面白い。細胞生物学としては、内膜系、細胞骨格、物質代謝でエンドサイトーシス、エキソサイトーシス、性の分化と減数分裂、細胞死などの話題も豊富であるが、詳細は省略したい。遺伝子量は大体ヒトの30億塩基数が限界の量であるが、植物には36倍体などのハプロイドでは数兆塩基数もある。約5億年前に遺伝子の臨界点に達したカンブリア紀の種の大爆発が起って、恐らく現在の生物から想像もつかないようなへんてこな生物が生まれたらしい。それらは全て絶滅して今日の数千万種くらいに落ち着いている。ゲノムのダイナミズムとは、ファミリーの重複構造、組み合わせ選択方式などで多様性が生み出されてきたらしい。
(つづく)