ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

読書ノート 近藤誠 著作集

2013年12月13日 | 書評
医療界の常識を破るがん論争異論! 医療ムラの利益か患者の生活の質QOL重視か 第31回
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5) 近藤誠著「医者に殺されない47の心得」 医療と薬を遠ざけて、元気に長生きする方法(アスコム 2012年12月)(10)
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心得30 「昆布やわかめを食べすぎるとガンになる」
ビタミン・ミネラルをサプリで補うのは邪道です。黄緑野菜のベーターカロチンが健康にいいというのは曲者です。フィンランドの栄養介入試験(2万9000人)でベーターカロチンを与える群とブラセボ群を比べると8年間に肺がんになる人の数はベーターカロチン群で18%増加し、総死亡率も8%増加したといいます。食物繊維摂取は大腸がん予防には結びつかないという研究結果もあります。米国がんセンターでは「野菜、果物、食物繊維が多く、極端に脂肪分の少ない食事は、女性の乳がん再発リスクを減らさない。生存期間も変わらない」という結果を発表しました。福島原発事故後国立がんセンターは「海藻に含まれるヨウ素は摂りすぎると甲状腺がんのリスクを上げる」といいます。乳頭がんリスクも上がるようです。

心得31 「コラーゲンやグルコサミンは効かない」 近年テレビのサプリや特保コマーシャルが盛んにいう「お肌ぷりぷりコラーゲン」は果たして効果があるのでしょうか。コラーゲンのような高分子物質は飲んでも胃腸で分解されて、コラーゲンそのものがお肌に届くわけがありません。コンドロイチンやヒアルロン酸など食べても飲んでも胃腸で分解されるので、そのまま血液によって運ばれるものではありません。

心得32 「高血圧に塩はだめはウソ、精製塩なら安心」
日本高血圧学会は2012年「高血圧の予防のため1日6グラム以下の食塩制限を推奨する」といいました。ところが米国では「塩分の少ない人は脳卒中や心筋梗塞になりやすい。世界の先進国中最長寿国の日本人の塩分摂取量が一番多い」と発表しました。「高血圧に塩はだめ」はウソだったのです。青木博士は「日本人の高血圧の98%以上は塩とは関係ない。腎臓やホルモン、血管の問題である。」と言っています。ナトリウムは細胞膜の情報伝達物質で、生命維持になくてはならないものです。また精製塩を嫌う人がいますが、これには全く根拠がない。白を嫌うという心理表現に過ぎない。黒又は有色類には栄養分が豊富という思い込みからきているのでしょうか。

心得33 「コーヒーはガン予防や長寿に効く」
国立がんセンターの研究で9万人を対象とし10年間追跡調査しコーヒーとがんの関係を調べました。そして1日に5杯以上コーヒーを飲む人は飲まない人に比べて肝臓がんの発症率が25%に下がると発表しました。岐阜大学は女性の大腸がんとコーヒーの関係を調べ、毎日1杯以上コーヒーを飲む女性の大腸がん発症率は飲まない人の半分以下と発表しました。米国NIHはコーヒーは心臓病、脳卒中、糖尿病による死亡リスクを減少させるといいました。フィンランドの研究では中高年のコーヒーを飲むグループは認知症やアルツハイマー発症リスクを半分以下に下げるといいます。紅茶にはその効果はなかったといいます。

(つづく)