浅井忠「グレーの洗濯場」(1901年 油彩・カンヴァス ブリヂストン美術館蔵)
明治中期を代表する二人の画家、浅井忠と黒田清輝。ともに、フランスのグレーという場所の風景を描いた。彦坂尚嘉氏は、浅井作品を《透視平面》、黒田作品を《原始平面》と言った。そして彦坂氏は、黒田の作品は、浅井の画面全体の構成の巧みさによる空間の深みの描出には及ばないと断言する。浅井の風景画作品では、地面、人物、手前と奥の建物など、それぞれの相互関係が、画面全体の構成の中で調和しているとも言っている。
黒田が西洋画の日本の先覚者のように言われているが、事実は浅井の方が古く、技術的にも勝っていたようである。この絵に於いても、背景の森、洗濯場、水面の構成・色彩が巧みで当時、いや今でもこの境地に到達した画家は稀であると言える。
小室新之助の窯場の建設が日々進んでいるという話を長柄さんから聞きました。長柄さんの家の奥の古い炭焼き場と番小屋を提供したということでした。
五人のお弟子さんが窯をついています。近々完成します。小屋を残しておいたので宿に使って貰っています。電気も水道も使えるようにして貰いました。
へえー、そうですか。するとまもなく火入れですね。
あんなところで仕事できるか心配だけど、相手はプロ、見通しは持っていると思います。ボロ小屋でも人が住むと急に生き返る。・・・ここでも実感しました。
それにしても、どうして出雲なんですかね。
師匠は以前から出雲焼に強い関心を持ってたようです。
出雲焼。
そうです。土も釉薬も全部地元で調達するそうです。
新しい出雲焼ができるということに・・・。
そうみたいです。
楽しみですね。
で、冴子さんはそのことをどう思っているんですか。
作品を見れば、もやもやは吹っ飛んでしまいますよ。出雲画廊に師匠の作品が出る日がくるんじゃないですか。
画廊に陶芸作品がですか。
絵も器も一緒ですよ。
はははっ。
長柄さんの闊達さに私は参ってしまいました。
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