とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

初受賞

2012-07-06 23:51:33 | 日記
初受賞



「葡萄を持つ聖母」ミニャール (1612-1695 フランス バロック )

「ミニャールの聖母子像は、優美で甘美。そして、そういった聖母像はミニャルド(ミニャール風)と呼ばれた。愛らしく優雅な人を形容する言葉として今日でも用いられている。トロワに生まれた。兄ニコラは宗教画家であった。シモン・ブーエのアトリエで学び、その後20年以上、イタリアで過ごした。フランスへ戻ってからは、ル・ブランのライバルとして活躍する。」(ヴァーチャル絵画館)


 佐山さんに小室さんから電話があったそうです。銀座の二人展「永遠なる母子」の作品と企画が美術誌『芸術新風』主催の芸術新風賞の新人賞に推され当選したという内容でした。私は古賀画伯からそのことを知りました。


 えっ! 新人賞ですか! やりましたね。よかったです。

 権威のある賞ですから佐山さんも感激してました。

 でも、どうして佐山さんに・・・、京子さんではなかったですか。

 京子さんに話さなかったのには訳があるそうです。

 どういう・・・。

 小室さんの過去ですよ。冴子さんから聞いたでしょう。小室さんが冴子さんの店に来たことは私も聞いてました。

 ええ、とても怖がっていましたが・・・。

 そうなんです。小室さんは自分のお父さんのことをずっと思いつづけていたようです。お父さんは破門されてから随分苦しまれたそうです。で、佐山さんの贋作事件に強い関心をもっていて、自分なりに取材したりしていたそうです。そうしているうちに佐山さんとお父さんがダブって、どう言いますか、個人的な強い親近感を持ったみたいですね。それで、復帰したことを知って真っ先に島根や銀座の店を見て回ったそうです。

 じゃ、今回の受賞は小室さんの思い入れがあったんですね。

 でもね。畝本さん、歴史のある賞です。そういう個人の思いだけでは決まりませんよ。実力ですよ。それに京子さんの実力もあって、二人の受賞ということになったようです。だから、冴子さんがマスコミに前宣伝をしてたこともちっとも影響してません。才能ですよ、掛け値なしの。

 そうですか。ほんとによかったです。・・・でも、小室さん自身は冴子さんに何か特別な感情を持っているのでは・・・。

 いや、そんなに根の深いものではないと思います。この前冴子さんの店に来たのも別の作品を見たかったからでしょう。

 でも、お父さんの名前を冴子さんに言ったとか聞いてますが・・・。

 長年の思いがふと出てきたからだと思います。

 そうでしょうか。

 冴子さんをひどく恨んでいるということはないと思います。冴子さんのお祖父さんのことでしょう。

 まあ、そうですが・・・。

 小室さんのお父さんが出雲に来て、窯場を開くそうです。小室さんが勧めたそうです。小室さん、出雲の土地が気に入ったんでしょう。小室さんのお父さんはもう相当なお歳だと思いますが、陶芸の世界では相当の評価のあるお方です。

 えっ、そうですか。

 私は、意外な展開に内心小躍りして喜こびました。芸術村、芸術村・・・、いよいよ本格的なスタ-トだ。

 

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