橡の木の下で

俳句と共に

「蓑虫庵」平成29年「橡」9月号より

2017-08-27 16:51:41 | 俳句とエッセイ

  蓑虫庵        亜紀子

 

伊賀人の梅雨の灯に守る辻地蔵

苔厚きつくばね樫も梅雨の庵

蓑虫の庵二間に半夏雨

黒づくめ鴉幼し忍者村

俳聖を祀る堂裏青時雨

梅雨すずめ代り番こに餌をもらふ

ぱつと咲く恐れ入谷の団十郎

釣果なき子も楽しげや梅雨夕焼

蚊の声や白骨を聴く頭を垂るる

訃音あり夏草に風立ちにける

体操へあさがほの路地往き来して

下宿子のかよふ間道葛暑し

熊蟬の一樹に天地沸きかへる

黄昏や蟬もセンチな蟬ばかり

蚊に負けて草にも負けて二三日